人工乳房「待てない」…再建手術中止、患者ら不安と戸惑い

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矢野智之・がん研有明病院形成外科部長のインタビューはこちら

拡張器挿入中に必ず携帯するカードを手にする主婦(画像を一部修整しています)
拡張器挿入中に必ず携帯するカードを手にする主婦(画像を一部修整しています)

 人工乳房による再建手術が突然中止となる、思いがけない事態に直面した乳がん患者らはこの2か月、不安と戸惑いの中で過ごした。

 「届くかどうかもわからない他社製品を待つ余裕はなかった」

 東京都東村山市の主婦(36)は、拡張器が入った左胸に手を当てながら胸中を語った。9月中にも再建手術を受ける予定だったが、中止になった。その後、販売を再開する予定のアラガン社の別製品を使う手術が10月中旬に決まった。

 再建手術を急ぐのは、乳がんの手術後、わきの下のリンパ節への転移が判明したためだ。再発を防ぐ放射線治療は、拡張器を入れている間は難しいと説明された。「ずいぶん悩みました。治療の先延ばしは不安でした。予定と違う製品になってしまったけれど、仕方がないですね。再建が終わったら、子どもと温泉やプールに行きたい」という。

 近畿在住の40歳代女性医師は8月、自分のおなかの組織を使った自家再建手術を受けた。当初、人工乳房の入れ替えを予定していた。自家再建は大きな傷ができるため、心身の負担が大きいと考えたからだ。変更はやむを得ない決断だった。昨年の乳がん手術は2回にわたり、「早く終わりにしたい」と思った。お盆以外は休めそうになかった。

 めまぐるしい状況の変化による心労、10時間以上に及んだ手術、おなかにできた40センチの傷。手術後は1週間、寝込んだ。「心の準備ができないままの手術で参ってしまった。医師の私がこんなに苦しんだのだから、他の患者さんはもっとしんどいと思う」と話す。

 ただ、自家再建にスムーズに切り替えられるケースは珍しい。元々、国内では、自家再建ができる医療機関はごく限られる。

 がん研有明病院(東京都江東区)は今回の事態を受け、自家再建手術枠を拡充し、他院で手術を予定していた待機患者の受け入れも始めた。形成外科医5人で対応するが、予約は1年先まで埋まっている。

 海外では複数のメーカーの人工乳房が使われているが、国内では公的医療保険の対象になっているのは1社の製品のみだ。同病院の上野貴之乳腺外科部長は「今回の事態を機に、自家再建でも人工乳房でも、患者の希望にそった再建方法を選べる体制を整えていくことが重要だ」と指摘する。

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806943 0 テクノロジー 2019/09/21 15:00:00 2019/09/21 16:06:33 2019/09/21 16:06:33 拡張器挿入中に携帯するカードを手にする主婦※赤字以外の個人情報をぼかしてください https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190921-OYT1I50048-T.jpg?type=thumbnail

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