[New門]「2位でも…」の富岳 世界一

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[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「スパコン」。

 理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳ふがく」が、計算速度の世界ランキングで1位になった。日本のスパコンでは先代の「けい」以来、8年半ぶりの首位だ。奪還のきっかけは、11年前に注目されたあのセリフだ。

「スピード一辺倒」に集中砲火

 「2位じゃだめなんですか」――。2009年、世界一の計算速度を狙って開発しようとしていた「京」について、当時の民主党政権で事業仕分けを担当した蓮舫参院議員が鋭く追及した。

 蓮舫氏ら仕分け人側は、1000億円を超える国家予算を投入してスパコンを開発する意味を尋ねていた。仮に計算速度が世界一になったとして、国民は何を得られるのか。その費用対効果を知りたがっていた。

 ところが、理研側はその答えを用意しておらず、「国民に夢を与える」などと具体性に欠ける説明に終始した。

 「車に例えれば、スピードだけを重視して、速いレーシングカーを作ることしか考えていなかった」。理研の松岡聡・計算科学研究センター長は、そう振り返る。

 京は予算を減額したうえで、かろうじて開発の継続が認められた。11年に計算速度が世界一となり、目標は達成した。その頃、松岡センター長らは既に、後継機である富岳の開発構想を練り始めていた。

利便性重視 目指すは「高級セダン」

 事業仕分けを教訓に、開発チームは利用者の視点に立ち、計算速度より使い勝手を重視し、成果を生み出すことを目指すようになった。訓練されたドライバーしか運転できないレーシングカーではなく、だれでも運転できて乗り心地がよく、燃費もよい高級セダンを狙った。

 心臓部の中央演算処理装置(CPU)の基本設計には、英アームの仕様を使った。家電やスマホ、ゲーム機など世界中の機器で最も多く使われている仕様だが、スパコンでの利用例はなく、ある種の賭けだった。

 京は、専用のプログラムを作らないと動かせず、不便だった。富岳では多くの人がパソコンで使っているソフトも、そのまま動かせるようにした。プレゼンテーション用ソフト「パワーポイント」や、スマホのアプリなども使えるという。

 結果的に、レーシングカーの速さと高級セダンの快適さを兼ね備えた、とてつもないスパコンに仕上がった。「2位じゃだめなんですか」が、圧倒的な1位を生み出した。

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1403079 0 科学・IT 2020/08/12 05:00:00 2020/08/12 09:05:22 2020/08/12 09:05:22 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200811-OYT1I50054-T.jpg?type=thumbnail

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