抱っこして歩くと泣きやむのはなぜ?…赤ちゃんの不思議に迫る

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 赤ちゃんは言葉を話せない。にっこり笑えば周囲は幸せ。泣けばおろおろしてしまう。子育て生活は楽しくもある一方で、「なぜ?」「どうして?」の連続だ。赤ちゃんの本能や不思議な行動を解き明かすこれまでの研究を、新米ママでもある記者が体験を基に取材した。テーマは、「泣く」。(科学部 笹本貴子)

 まもなく2歳になる息子が、生まれたばかりの頃のこと。泣き出して延々と抱っこし、部屋を歩き回らされたことが何度もあった。歩けば泣きやみ、疲れて座ると大泣き。真っ赤な顔で泣き叫ぶ我が子が時折「赤鬼」のように見え、「座るな! 歩け!」と怒られている気分になった――。

 この現象、科学的な実証が進んでいるという。

 研究したのは、理化学研究所・親和性社会行動研究チームの黒田公美リーダー(50)(脳神経科学)らのグループ。「抱っこして歩くと赤ちゃんはなぜ泣きやむのか?」を実験で検証した。

泣く時間10分の1に…リラックスする様子も

 生後0~6か月の12人の赤ちゃんの母親が、抱っこして「座る」「歩く」を30秒ずつ繰り返した。すると歩いている時は泣く時間が10分の1、ジタバタと手足や頭を動かす時間は5分の1に減ったという。母親が歩き始めて3秒以内に心拍数が急低下し、リラックスする様子も見られた。

 同様の現象は、生後10~13日のマウスの実験でもみられた。マウスの首の後ろを軽くつまみ上げると体を丸めておとなしくなり、心拍数も下がった。体の動きなどを制御する脳の小脳皮質に異常があったり、首の後ろの皮膚感覚や空中を運ばれる感覚を薬で止めたりすると、効果が弱まる。

おとなしく運ばれる…危機回避のため本能的に親に協力?

 黒田さんたちは、抱っこして歩くとおとなしくなる現象を「輸送反応」と名付けた。人やマウスだけでなくライオンやリスなど多くの動物で共通するらしい。現在、さらに詳しい脳のメカニズムを調べている。

 黒田さんは「親が子を運ぶのは外敵が迫るなど緊張した状況も多い。おとなしく運ばれるのは、危機回避のための本能的な協力行動なのでは」と話す。

AIで原因予測「泣き声判定サービス」

 「何をしても泣きやまない。『近所迷惑になるのでは?』など、不安と焦りでいっぱいになった」

 大手家電メーカーの技術者だった服部伴之さん(46)は、最初の育児で「泣き」の洗礼に、ほとほと悩まされた。その経験をヒントに8年前、新興企業「ファーストアセント」(東京都)を起業。育児IT技術を開発する社の最高経営責任者(CEO)で、今は10歳と6歳の2児の父でもある。

 「なぜ泣いているのか分からない」。そんな悩みに応えようと、使ったのが人工知能(AI)とスマートフォンだ。授乳や排せつ、睡眠の時間などを記録する無料スマホアプリ「パパっと育児@赤ちゃん手帳」を開発し、利用者に赤ちゃんの泣き声の録音と、「何をしたら泣きやんだのか」のデータを送ってもらった。

 集めたデータをAIに大量に学習させ、泣き声の周波数などの特徴から原因を予測する「泣き声判定サービス」を、2年前からアプリの機能に追加した。赤ちゃんが泣き出したらアプリで録音すれば、瞬時に「眠い86% 怒っている14%」などと教えてくれる。

 AIが学習した泣き声データは国内外で100万件以上になり、「検証の結果、正解率は80%以上」(服部さん)という。現在は、赤ちゃんの枕元などに置いておき、泣き出したら自動的に検知して離れたスマホに予測結果を送る専用端末を開発中で、来春にも商品化を予定している。

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1598784 0 科学・IT 2020/11/03 09:02:00 2020/11/04 10:59:20 2020/11/04 10:59:20 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201029-OYT1I50049-T.jpg?type=thumbnail

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