かいぼりでジュンサイ60年ぶり復活…東京・八王子の池

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 全国各地の池や堀で、水を一時的にすべて抜いて天日干しする「かいぼり」が行われている。最近はテレビ番組でも特集されるほど注目されているが、そもそも、なぜかいぼりをする必要があるのだろうか。(科学部 天沢正裕)

外来魚駆除しようとしたら…

 東京都八王子市の中心部から南東に約7キロ・メートル、東京ドーム4個分の敷地に里山の自然が広がる「長池公園」で昨年10月、ため池の大規模なかいぼりが行われた。池に生息する外来種の魚を駆除するためだ。

 面積約2000平方メートル、水深1メートル前後の「長池」の水を、ポンプで排出。池底が見えた11月3日、約100人の市民らが入り、外来種のオオクチバス(ブラックバス)、ブルーギル計約500匹を捕獲した。

 2000年の開園以来、憩いの場として親しまれてきた同園は、大きな問題を抱えていた。長池に繁殖力の強い外来魚が増え、小型魚類や甲殻類の一部がほぼ駆逐され、池の生態系が壊滅的な被害を受けていた。

 初のかいぼりで外来魚はすべて駆除できたといい、内野秀重園長(61)は「今後、土の中で冬眠して取り除けなかったアメリカザリガニの対策も進めたい」と話す。

 かき出した泥をプランターに移すと、東京都で絶滅したとされた植物のジュンサイ、ミズユキノシタが芽を出した。泥に残っていた種が、約60年ぶりに息を吹き返した。

 千葉県立中央博物館の林紀男・環境教育研究科長(58)は「水草の種子は数十年も眠り続けることがある。光や寒さなどの刺激を受け、休眠が破られたのだろう」と指摘する。

水質浄化と在来種保護に有効

 池や湖には、周りから土砂や生物の死骸などが流れ込み、底にたまっていく。放置すれば水質が悪化する。いったん外来種が侵入すると、在来種が攻撃を受けるなど生態系が乱されるリスクも高まる。水質浄化と在来種保護のために、かいぼりは有効との理解が広まっている。

 皇居外苑の「牛ヶ淵」(東京都千代田区)では03年と09年に、東京都立井の頭公園(武蔵野市、三鷹市)でも13年度から3回にわたって外来魚の駆除などを目的にかいぼりが行われた。有名人がかいぼりに挑戦するテレビ番組も人気で、認知度が高まっている。

 皇居外苑、井の頭公園のかいぼりでは、自転車や家電製品なども見つかった。底に沈んだゴミは普段は見えないため、街中にある池では粗大ゴミの不法投棄が後を絶たない。かいぼりによって、その実態も明らかになり、ゴミの除去で水質が改善された例も多い。

泥をさらい、肥料に活用…農家の習慣

 かいぼりはもともと、農業用ため池の貯水量を確保し、設備を補修するために行われていた。農閑期に泥をさらうのが農家の習慣だった。

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