世界一深い湖に生息のアザラシ、主食ついに判明…1匹0・1グラムを大量に捕食
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ロシア南東部のバイカル湖に生息するバイカルアザラシが、水中にいるわずか0・1グラムのヨコエビを大量に捕食していることが国立極地研究所(東京都立川市)の調査でわかった。ヨコエビを1匹ずつ、1日に何千匹も捕らえており、そのユニークな生態が初めて明らかになった。

バイカル湖は最大水深1620メートルと世界で最も深い湖で、透明度も世界一と言われる。同研究所によると、湖には体長約1・2メートルの固有種・バイカルアザラシが8~12万頭生息しているが、これまで主食は魚だと考えられてきた。
同研究所の渡辺佑基准教授の研究グループは、野生のバイカルアザラシにカメラと行動を記録する機器を取り付け、捕食の様子を観察。魚のほかに、体長2センチ程度のヨコエビを大量に捕食していることがわかった。ヨコエビは、日中は湖の深いところにいて、夜に浅い場所に上がってくるが、バイカルアザラシはこの動きに合わせて夜間に潜水し、1回の潜水で平均して57匹、1日だと約4300匹も捕食していた。

ヨコエビはこれまでもバイカルアザラシの胃の中から見つかっていたが、あまりに小さく、主食とは考えられていなかったという。
また、小さなヨコエビと一緒に大量の水を飲むことはできないため、ヨコエビを口に入れた後、ギザギザの歯の隙間から水を排出しているとみられている。
渡辺准教授は「これほどのハイペースで獲物をとらえる水生哺乳類はほかに知られていない」と話し、餌と栄養の乏しいバイカル湖でアザラシが多数生息できる理由が、今回の研究で説明できるとしている。