【独自】通信途絶でもスマホ同士リレーで安否を集約…大規模災害時、人工衛星で中継
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政府は、大規模な地震や風水害で通信途絶に陥った地域の被災状況をいち早く把握できる新たなシステムの運用に乗り出す。携帯電話の基地局からの電波を含むあらゆる回線が途絶えても、近距離のスマートフォン同士で通信できる仕組みを使って住民の安否情報を集め、人工衛星で国の災害対応機関に中継する。1月以降、全国24自治体で実証実験を始め、災害時の救援・救助活動に役立てる。
政府実験へ

利用するのは、内閣府が運用する測位衛星「みちびき3号機」で、位置情報に加え、災害時に安否情報を通信する機能もある。2018年に災害での運用を始めたが、被災地で通信が途絶すると、情報そのものを収集できないという課題があった。
新システムでは東北大が開発し、民間企業が19年に実用化した「スマホ
具体的には、〈1〉災害発生直後、住民がスマホの専用アプリに電話番号、氏名、けがの有無、避難状況などの安否情報を入力〈2〉ブルートゥースの圏内にいる住民のスマホに情報が転送され、そこからさらに転送が繰り返される〈3〉情報を受信したスマホを持つ住民が避難所に近づくと、敷地内の送受信機が情報を取り込み、衛星へ送信〈4〉衛星が専用受信施設(茨城県など3か所)に中継し、自衛隊、警察庁などに届く――という流れを想定している。
送受信機は1時間あたり約1000人分の送信が可能。国側はこの情報から被災状況を把握でき、医療チームの派遣や支援物資の輸送に役立つ。送受信機に集まった情報は、被災自治体も確認でき、国側は「救助隊が向かった」などのメッセージを衛星経由で避難所に送ることも可能だ。