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[サイエンス Report]宇宙飛行士 問われる人間力

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13年ぶり募集 協調、忍耐、冒険心も

 人々を古来引きつけてやまない宇宙――。そんな神秘的な空間をじかに体験できる特別な職業が、宇宙飛行士だ。日本の宇宙機関が選んだ飛行士はこれまでわずか11人。今秋頃、2008年以来13年ぶりとなる日本人飛行士の募集が始まる。どんな資質が求められるのか。関係者の証言から、次世代の飛行士像を探った。(渡辺洋介)

■日本初の月面探査へ

 米国のアポロ11号による人類初の月面着陸(1969年)から半世紀余り。米国を中心に、日本も参加する有人月探査「アルテミス計画」で、そう遠くない将来、日本の飛行士が初めて月の地表を踏みしめる日が来るかもしれない。

 「若い人に月探査を担ってほしい。有人宇宙活動が広がる新しいステップだ」。アポロ11号の快挙に5歳の時に触れ、宇宙への憧れを抱いたという若田光一飛行士(57)は、昨秋の記者会見でこう呼びかけた。

 旅客機や航空自衛隊のパイロット、医師、技術者――。宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)の現役飛行士7人は、大学で自然科学を学んだ共通項をのぞけば、その経歴は様々だ。審査委員を務めたJAXA元理事の長谷川義幸さん(70)は「チームで仕事ができることや忍耐力など総合的な『人間力』が求められる」と、必要な資質を挙げる。

■前回選抜は300倍超え

 飛行士の夢にたどりつくには、狭き門をくぐり抜ける必要がある。約1年に及んだ前回の選抜試験では963人の応募に対し、最終的に選ばれたのは3人。300倍超えの倍率だった。書類選考に加え、3次までの試験で英語や教養、面接などを実施し、絞り込んだ。

 産婦人科医の江澤佐知子さん(47)は、宇宙でのがん研究を志して挑戦、最終候補まで残った。「少年のように飛行士になるという強い気持ちを持った人が残っていた。大切なことは、『競争』ではなく『協調』だった」と振り返る。

 最終候補の段階では、外に出られない宇宙環境を想定した「閉鎖環境試験」が待ち受けていた。1週間の期間中に、チームでロボットを作ったり、千羽鶴を折ったり……。精神力や協調性などを見極められる。江澤さんは「こんなに粉骨砕身頑張ったことはなく、人生で一番の経験。憧れだけでなく、真の覚悟を持って受けてほしい」と強調した。

■長い道のり

 幸運にも試験で選抜されても、すぐに宇宙へというわけにはいかない。飛行士に認定されるには、宇宙船の不時着といった緊急時に生き残るためのサバイバル訓練など、約2年の基礎訓練を積まなければいけない。

 認定されても、日本人飛行士が行ける「枠」はあらかじめ決まっており、根気よく待つ必要がある。「ベンチ裏でバットの素振りを9年続けてきた」。23年頃の国際宇宙ステーション(ISS)行きが昨年決まった古川聡飛行士(56)は、11年以来となる滞在をこう表現した。華やかな宇宙での活動の裏側には、たゆまぬ地上訓練の継続がある。

 現在の飛行士の主な任務は、高度約400キロ・メートルを周回するISSに半年程度滞在し、重力がほとんどない特長を生かした科学実験やISSの維持管理などの仕事をこなすことだ。

 今後約38万キロ・メートル離れた月に向かうとなれば、月面に実際に降り立って資源の調査などを実施する可能性もある。長谷川さんは「月はこれまで以上に過酷。『冒険隊』の素養も求められるのではないか」とみる。

■応募条件の緩和検討

 今秋頃の募集は若干名の予定だが、JAXAは今後も5年に1回程度は募集を続け、幅広い年齢層の飛行士を育成していく。民間企業とも協力して、求める人材像を練り、文系出身者などに門戸を広げることなども検討する。

 JAXA有人宇宙技術部門の川崎一義・事業推進部長(57)は「素養があれば、訓練でカバーできる。人材の多様性を念頭に募集の敷居を下げ、応募者が増えることを期待したい」と話す。

 ◆アルテミス計画=2024年に宇宙飛行士を月に送ることなどを目指す米国の月探査計画。昨年7月、新しい月周回基地に、日本人飛行士を滞在させることで日米が合意。20年代後半以降、日本人が月探査に参加できる公算が大きい。

もうり・まもる 北海道余市町生まれ。北海道大助教授を経て、1985年に宇宙飛行士に。92年と2000年の2回、宇宙に滞在した。同年10月から現職。
もうり・まもる 北海道余市町生まれ。北海道大助教授を経て、1985年に宇宙飛行士に。92年と2000年の2回、宇宙に滞在した。同年10月から現職。

繊細さ、ずぶとさ持って挑戦を…日本科学未来館館長 毛利衛さんに聞く

 日本で初めて米スペースシャトルへの搭乗を果たした日本科学未来館館長の毛利衛さん(72)に、これからの宇宙飛行士に求められる資質などについて聞いた。

 ――宇宙飛行士の魅力とは。

 人類の代表で、新しいことに挑戦できる。危機管理能力は欠かせず、普段は訓練など下積みが長い。つらくても耐えられるかは、本当に宇宙に行きたい気持ちがあるかどうかだ。

 ――試験を受ける側と審査する側の両方を経験した。

 回転椅子に乗せられるなど経験したことのない状態に追い込まれた。自分は平静を保てたが、恐怖の中でこそ、その人の本当の姿が出る。審査では、無意識に表れるしぐさに注目した。今回の新規募集の選考は、常に危険と隣り合わせの月探査を見据えたものだ。危険を回避する繊細さと、動じないずぶとさが求められるのではないか。

 ――人工知能(AI)やロボット技術の進展は著しい。次世代の飛行士の役割は。

 絶えず新しいことに挑戦する姿勢は、変わらず重要だ。進化を続けるAIは過去のデータを生かすが、新しいことは任せられない部分もある。人間は、初めて遭遇する現象にも対応できる。宇宙から見た地球は忘れられない。月から見る姿は違うはずだ。色々な人に挑戦してほしい。

 毛利さんのインタビュー詳報はこちら

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1759652 0 科学・IT 2021/01/10 05:01:00 2021/01/10 05:05:20 2021/01/10 05:05:20 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210109-OYT8I50013-T.jpg?type=thumbnail

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