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宇宙人探す「目」…直径30mで素材は日本製

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 日本を含む5か国の国際チームが、米ハワイ島・マウナケア山頂に建設を計画している最新型の巨大望遠鏡「TMT」。宇宙で最初に生まれた星や太陽系外の生命探しにも挑む超高感度の「目」は、日本のメーカーが手がけた高性能ガラスが支える。(中居広起)

700度の温度差にも平然…オハラ「クリアセラムZ」

TMTの完成予想図(国立天文台提供)
TMTの完成予想図(国立天文台提供)

 TMTの目は、直径が30メートルにもなる巨大な鏡(主鏡)だ。主鏡が少しでもゆがむと像がぼやけ、高い精度で観測できなくなる。

 ゆがみの原因の一つは温度。ガラスなどほとんどの物質は温度が上がると膨らみ、下がると縮む。国際チームは、主鏡のガラス素材として、相模原市のメーカー「オハラ」が開発した、温度変化で伸縮しない「クリアセラムZ」に目を付けた。

 クリアセラムZは、ガラスの主成分の石英の中に、リチウムやアルミニウムなどの金属を混ぜることでできる結晶が入っている。結晶は、ガラスとは逆に熱すると縮み、冷やすと元に戻る。お互いが打ち消し合う仕組みだ。

倉庫に並べられたTMTの主鏡のガラス素材。温度によってほとんど伸縮しない特殊な加工がされている(南川さん提供)
倉庫に並べられたTMTの主鏡のガラス素材。温度によってほとんど伸縮しない特殊な加工がされている(南川さん提供)

 耐熱ビーカー用のガラスで長さ1メートルの棒を作り、温度を10度上げると0.03ミリ・メートル長くなる。クリアセラムZは同じ条件で最大0.0001ミリしか伸びない。

 オハラ特殊品事業部長の南川弘行さん(50)は「配合を変えて何百回と試験した。クリアセラムZは500度に熱した後、氷点下200度の液体窒素に入れても割れない」と胸を張る。

精密機械向けから宇宙へ

 オハラが開発を始めたのは1970年代。望遠鏡やセンサー用などに製造を始めていた欧米企業に追いつこうと奮闘した。だが、原料を溶かすには2000度近くまで熱する必要があり、量産するには採算が合わず、あきらめたこともあった。

クリアセラムZの主鏡ガラスの見本を手に「原料の配分は企業秘密」と話す南川さん
クリアセラムZの主鏡ガラスの見本を手に「原料の配分は企業秘密」と話す南川さん

 90年代にようやく、10種類ほどの金属を混ぜると温度を下げられることを見つけ、製品化にこぎつけた。半導体の製造装置など精密機械に使われ、シェア(占有率)を広げてきた。

 そのさなか、TMT建設の話が舞い込み、主鏡への採用が決まった。主鏡は直径約1.5メートル、厚さ約5センチ・メートルのガラスを、六角形に成形して492枚組み合わせて作られるという。交換用も含めて574枚を製造する大プロジェクトだ。

 

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1924532 0 科学・IT 2021/03/20 08:51:00 2021/03/20 12:04:17 2021/03/20 12:04:17 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210318-OYT1I50051-T.jpg?type=thumbnail

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