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月面で新鮮なステーキ食べたい…「夢の宇宙食」日本で開発中

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[New門]は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「培養肉」。

 

 世界で「培養肉」の開発競争が起きている。畜産に頼らず、動物の細胞を人工的に増やして作る食肉で、食料危機などの解決策の一つと期待される。日本は、独自の視点で開発を進めている。目指すのは培養肉を使った「夢の宇宙食」だ。

日本、30年代後半に月で生産計画

 2020年代後半の月面着陸を目指し、米国主導の有人月探査「アルテミス計画」が進んでいる。近年、宇宙旅行を企画する民間企業も相次ぐ。

 バカンスは宇宙で――。遠い未来ではないかもしれない。

 宇宙時代の課題の一つが「食」だ。宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)の標準的な打ち上げ費用では、1キロ・グラムの荷物を宇宙に運ぶのに330万円かかる。宇宙への運搬には長い時間も必要だ。地球から食材を供給し続けるのは難しい。

 「ならば宇宙で食材を作ろう」

 日本が注目したのが、再生医療を応用し、糖やアミノ酸、ホルモンなどを含む無菌状態の培養液で牛や鶏、魚の細胞を塊へと育てる培養技術だ。培養液に使う水の確保が難題だったが、米航空宇宙局(NASA)は昨年、月面に水の存在を確認した。

 JAXAなどは、宇宙での食料生産を目指す計画「スペースフードスフィア」をスタートさせている。30年代後半に月面で培養肉の生産を目指している。同計画の代表、小正瑞季さんは「日本が他国と異なるのは、宇宙空間でも食などの生活の質(QOL)を重視していることだ。月や火星で新鮮なステーキや焼き肉を食べたい」と語る。

バイデン政権誕生が追い風

 地球温暖化対策を重視するバイデン米大統領の誕生は、培養肉開発への追い風となった。国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の温室効果ガスの約15%は畜産業に由来する。膨大な家畜が出すゲップに含まれるメタンガスなどだ。温暖化対策が進めば、畜産業のあり方に影響が及ぶ可能性がある。

 また、国連推計によると世界の人口は、50年に97億人まで増える。畜産だけでは、必要な量のたんぱく質を賄いきれない「たんぱく質危機」も迫る。

 地球規模の課題を背景に、米国、イスラエル、欧州は培養肉の開発に熱心だ。ハムやステーキがすでに試作されている。

 日本も負けていない。新興企業のインテグリカルチャー(東京都文京区)は、培養に必要な成長因子を人工的に作るシステムを開発し、高額な培養液の費用を100分の1に抑えた。この技術を使い、年内にも「培養フォアグラ」を販売予定だ。

 東京女子医科大の清水達也教授(再生医療)らは、クロレラなどの藻類から作る培養液の研究を進めている。光と水に空気、ミネラルがあれば培養液が調達可能となり、宇宙での持続的な肉の生産が現実味を帯びる。

 

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1988725 0 科学・IT 2021/04/16 05:00:00 2021/04/16 07:30:49 2021/04/16 07:30:49 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210415-OYT1I50133-T.jpg?type=thumbnail

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