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魚のオスが目の前のメスやオスを認識し、行動を変えている可能性があると大阪市立大などのチームが発表した。メスには「思いやり」を、ライバルのオスには「敵対心」を反映したような行動が確認できたという。論文が英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
チンパンジーなど霊長類では、仲間と餌を分かち合い、互いに損をしない行動が報告されているが、「思いやり」や「敵対心」を示す行動を魚類で確認したのは初めてという。

チームは、決まったパートナーのオスとメスが協力して子育てする魚「コンビクトシクリッド」を使って実験した。オスを入れた水槽に、餌を食べると隣の水槽のメスにも同じ餌が出てくる仕掛けのある部屋と、出てこない部屋を用意。
1日9回、計10日間餌やりを繰り返すと、徐々にメスにも餌が与えられる部屋に入る割合が増え、8日目以降は約90%になった。一方、自身の繁殖活動の妨げになるオスを隣の水槽に入れた場合は約30%だった。
チームの佐藤駿・客員研究員(魚類行動学)は「相手によって、自分の繁殖活動にプラスになるように行動していると考えられる」としている。
兵庫県立大の高橋鉄美教授(魚類学)の話「魚の行動に関する意義深い研究だ。ただ、魚には自分や相手を認識する能力はないと考える研究者も多い。今後、認識する能力をどう活用しているかを明らかにする更なる研究が期待される」