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火星探索の命運握る日本人研究者…訓練なしの一発勝負の着陸、成功に「身震いした」

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 私たちのような生命はどこから誕生したのか。地球以外に生命は存在するのかしないのか。誰もが一度は考える究極の問いだ。宇宙や地球を舞台にした探査・観測でこれらの謎に挑む研究者たち。その最前線を追う。

米国の探査車、35億年前の湖跡?へ

 穴ぼこだらけの赤い大地が眼前に広がった。灰色っぽい丘陵も見える。ごつごつとした地表が鮮明に映し出された次の瞬間、砂ぼこりが勢いよく舞い上がった――。

 2月19日早朝。米航空宇宙局(NASA)の探査車「パーシビアランス」が、難易度の極めて高い着陸作業を乗り越え、カメラでとらえた火星の風景だ。

 「不屈の精神」を意味するパーシビアランスは、米国の火星探査機・探査車としては9機目となる。「火星に生命は存在するのか」。人類が長年探ってきた謎の答えを得るべく、送り込まれた。

 探査車の運用には、日本出身の研究者も関わる。NASAジェット推進研究所で、自動走行のソフトウェア開発に携わった小野雅裕さん(38)も、その一人。「訓練なしの一発勝負の着陸を全て自動制御で成功させた。探査車が地表に向かって切り離される姿に、身震いした」と興奮を隠さない。

太古は豊富な水?

 地球より太陽から遠く、平均気温は氷点下53度と極寒で、わずかに存在する大気のほとんどは二酸化炭素(CO2)だ。生命がいるイメージとはほど遠いこの惑星も、太古は分厚い大気に覆われ、豊かな水をたたえていたと考えられている。

 寺田直樹・東北大教授(47)は、NASAの探査機の観測データを分析し、約38億年前から、大気は太陽風によって徐々にはぎ取られて宇宙空間に逃げるなどし、ほとんどなくなったとみる。米カリフォルニア工科大などのチームは3月、液体の水の大半は、鉱物の中に取り込まれて地表から姿を消したとの説を米サイエンス誌で報告した。

 今は大気も水も失われたとしても、かつては地球と同じような環境だったのなら、微生物などの生命体がいたとしても不思議ではない。こんな仮説の立証に、NASAはパーシビアランスを使って挑む。

「炭酸塩」の地層

 探査車が降り立ったのは、火星の北半球に位置する直径約45キロ・メートルの「ジェゼロ・クレーター」。水が流れ込んだ川の跡や土砂が堆積たいせきした三角州のような地形があり、約35億年前には湖だった可能性が高い。

 約1トンの探査車には、岩石の組成を調べるカメラやレーザーが搭載されている。発見を目指すのは、鉱物の一種「炭酸塩」が含まれた地層だ。地球では、微生物の死骸や砂などが重なってできた炭酸塩の岩石が見つかっており、この重なり方に似た特徴を火星でも見つけられれば、生命の存在への期待は一気に高まる。

 パーシビアランスの探査期間は、約1年11か月。着陸直後から1日1回パノラマ写真を地球に送信するなど、初期運用は順調だ。5月以降、目的地に向かって本格的な探査に入る予定といい、小野さんは「地球の生命は偶然誕生したのか。それとも環境さえ整えば、生命は普遍なのか。科学史に残る大発見に挑みたい」と意気込む。

数々の「証拠」

 火星探査は、ここ20年で大きな進展を見せた。

 欧州宇宙機関(ESA)の探査機「マーズ・エクスプレス」は2004年、大気の中からメタン(CH4)を検出した。メタンは、微生物が作り出すことができるガスの一種だ。12年に着陸した米探査車「キュリオシティ」による調査では、クレーターで採取した岩石から、生命の材料となりうる有機物が見つかった。

 生命の存在をうかがわせるこれらの「証拠」だが、決定打とは言い難い。そこで、今回のNASAの計画では、微生物の痕跡が残っているとみられる岩石のかけらなどを地球に持ち帰る青写真を描く。NASAのロリ・グレイズ惑星科学部長は「試料をより高性能な研究室と装置で調べる必要がある」と話す。

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2007826 0 科学・IT 2021/04/24 08:56:00 2021/04/24 08:56:00 2021/04/24 08:56:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210420-OYT1I50083-T.jpg?type=thumbnail

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