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施設入所者14人死亡の九州豪雨、「バックウォーター現象」で水位5m上昇

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 昨年7月の九州豪雨では、熊本県・ 球磨くま 川の支流の水位がバックウォーター現象の影響で5メートル近く高まり、氾濫につながったとする分析結果を、山口大のチームがまとめた。氾濫現場では特別養護老人ホーム「千寿園」(同県球磨村)の入所者14人が死亡しており、この現象のリスクが改めて浮き彫りとなった。

甚大な浸水被害を受けた特別養護老人ホーム「千寿園」(左上)(昨年7月4日午後、熊本県球磨村で、読売機から)
甚大な浸水被害を受けた特別養護老人ホーム「千寿園」(左上)(昨年7月4日午後、熊本県球磨村で、読売機から)

 山口大の赤松良久教授(河川工学)らは、千寿園周辺の地形を小型無人機で詳細に測量。当時の雨量データなどを基に、球磨川の支流・小川の水位がどのように変化したかをコンピューターによるシミュレーションで再現した。

 その結果、昨年7月4日午前4時55分頃に小川が氾濫し、同園周辺が浸水したと推定。水位はその後も平均分速1・62センチで上昇を続け、同10時20分頃にピークを迎えたという。

 小川の水がスムーズに球磨川に流れ込んだと仮定したシミュレーションでは、水位が最大4・83メートル低くなった。同園周辺の浸水も深さ数十センチにとどまり、甚大な被害に至らなかった可能性が高いとしている。

 赤松教授は「危険な場所に立地する高齢者施設は、専門家の力を借りるなどして避難計画を充実させる必要がある」と指摘する。

  田中規夫・埼玉大教授(河川工学)の話 「雨が降り続く時間が長いと、バックウォーター現象が生じやすい。地域でリスクを認識し、早期の避難を行う体制を整えるべきだ」

 

  ◆バックウォーター現象 =大雨で本流が増水し、支流の流れが合流点でせき止められたり、逆流したりする現象。支流の水位が上昇し、堤防決壊などの被害が起こりやすくなる。2018年の西日本豪雨や、19年の台風19号の被災地などでも確認されている。

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2176017 0 科学・IT 2021/07/03 10:57:00 2021/07/03 10:57:00 2021/07/03 10:57:00 14人の心肺停止が確認された特別養護老人ホーム「千寿園」(左上)(4日午後6時41分、熊本県球磨村で、本社機から)=小林武仁撮影14人が心肺停止で見つかった特別養護老人ホーム「千寿園」(左上)(4日午後6時41分、熊本県球磨村で、本社機から)=小林武仁撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210703-OYT1I50045-T.jpg?type=thumbnail

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