コムギ・イネから新たな雑種、鳥取大チームなど世界初成功「世界の食糧危機に立ち向かいたい」

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 農作物のコムギとイネの雑種を新しく作り出すことに、鳥取大学乾燥地研究センター(鳥取市)と東京都立大の研究チームが世界で初めて成功したと発表した。顕微授精の技術を用いて、双方の卵細胞と精細胞をさまざま組み合わせた。優れた特性をかけ合わせた新たな穀物の開発につながる可能性がある。論文は海外の植物学誌の電子版に掲載された。(東大貴)

 コムギとイネからなるコメは、トウモロコシを加えて世界三大穀物と呼ばれる。世界の穀物生産量の約9割を占め、人類には欠かせない。それぞれ収穫量の多さなどでほかの農作物より秀でた遺伝的性質を持つ。一方、近年は異常気象による熱波や干ばつの影響を受けるほか、途上国の人口増加などで穀物不足が懸念されている。

 コムギとイネはともにイネ科の植物。ただゲノム(全遺伝情報)は大きく異なり、花粉をめしべに振りかける一般的な交雑の手法では、新たな雑種を生み出すことはほぼ不可能だったという。

コムギとイネの交雑に成功した石井講師(鳥取市の鳥取大乾燥地研究センターで)
コムギとイネの交雑に成功した石井講師(鳥取市の鳥取大乾燥地研究センターで)

 そこで乾燥地研究センターの石井孝佳講師(35)と東京都立大の岡本龍史教授(植物発生学)らは、岡本教授が専門とする顕微授精法を活用。植物から取り出した卵細胞と精細胞を電気をかけて融合させ、受精卵ができる過程をいろいろな組み合わせで研究した。

 コムギの精細胞とイネの卵細胞の交雑では、胚までにしか育たなかった。調べてみると、イネの染色体がほぼ抜け落ちていたことがわかった。そこで、さらにコムギの卵細胞も取り込んだところ、植物にまで育った。誕生した雑種は、基本はコムギだが、草の形が少し違うことから、イネの染色体の一部を保持している可能性がある。

 交雑の成功には組み合わせや染色体の量の調整が重要と突き止めた石井講師は「三大穀物の間で遺伝資源のやり取りを可能にして、優良な新しい作物づくりにつなげ、世界の食糧危機に立ち向かいたい」と話す。

 雑種は現在、乾燥地研究センターの温室で保管している。種もできており、今後は栽培することで、双方の特性をあわせ持っていないかを研究するとともに、新たな作物を生み出す方法につなげていく。

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2558753 0 科学・IT 2021/11/30 10:05:00 2021/11/30 10:05:00 2021/11/30 10:05:00 コムギとイネから新たに開発された雑種(鳥取市浜坂で)=東大貴撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211129-OYT1I50058-T.jpg?type=thumbnail

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