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産業用ドローンの開発・販売を行う横浜市旭区の「ロボデックス」が、長時間飛行できる水素燃料電池ドローンを開発した。茅ヶ崎市で行った試験飛行にも成功し、貝応大介社長(55)は「今年度中の飛行時間2時間超えを目指している。試験を重ねてデータを集め、ドローン物流を現実化させたい」と意気込んでいる。(津村浩)


開発したドローンは、幅1・1メートル、高さ60センチ、重量15・5キロで六つのプロペラがある。搭載した高圧水素容器から水素を燃料電池に送り、飛行させる。高圧水素を載せての飛行は安全管理が厳しく求められており、試験飛行は高圧ガス保安協会の評価と経済産業相特認の取得、さらに国土交通省の許可を得て行っている。これまでに3回試験飛行しており、11月には飛行時間54分間を達成している。
一般的なドローンはバッテリーのみ搭載しているため、飛行時間は10~15分程度にとどまる。時間がネックとなり、長距離・長時間の移動が必要な物流や、風力発電の風車など大型機器の点検などの分野への参入は進んでいない。水素燃料と高圧水素容器の搭載は、それらの課題解決につながると期待されている。
貝応社長は、光学機器メーカーで設計などを担った後、ドローンの開発や販売、講習などを行う会社を起業して運営していたが、「長時間飛行の実現に専念したい」と、2019年にロボデックスを起業。東日本大震災で家屋などが津波で流される映像を見て上空からの情報把握の重要性を感じたことから、「災害の時にも必ず役に立つ」と、開発に取り組んだ。
開発したドローンは飛行に酸素が必要なため、湿度などの天候に左右される。価格も数百万円と高額で操縦者も足りないなど実用化にはまだ課題は多い。貝応社長は「ドローン産業は中国が先行しているが、長時間飛行の分野でリードできるようにしたい。そのためにはもっとバージョンアップが必要」と話している。
ドローンによる物流実現のため他の企業と検討を進めており、水素燃料電池ドローンは2023年の販売開始を目指している。