【独自】米高速炉計画に日本参加へ…「もんじゅ」の技術共有、国内建設にも活用

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 【ワシントン=船越翔】米原子力新興企業と米エネルギー省による次世代の高速炉の開発計画に、日本が参加することがわかった。日本原子力研究開発機構と三菱重工業が技術協力し、日本の施設で安全試験も行う。1月にも協力の合意書を取り交わし、2028年に米ワイオミング州での運転開始を目指す。

 日米の複数の関係者が明らかにした。日本では高速炉「もんじゅ」(福井県)の廃炉が16年に決まり、実用化への見通しが立たなくなっている。高速炉は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し再利用する日本の「核燃料サイクル政策」に不可欠の施設で、計画参加を通して将来の国内建設に必要な技術の獲得を目指す。

 高速炉開発は、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が設立した米テラパワー社と米エネルギー省が計画。高速炉の出力は34・5万キロ・ワットで、同州ケマーに建設する。建設費約40億ドル(約4500億円)はテラパワー社と同省が半分ずつ拠出する。

 冷却材は液体ナトリウムを使う。ナトリウムは水や空気に触れると激しく反応するため取り扱いが難しいが、原子炉の熱を効率良く取り出せる。通常の原子力発電所(軽水炉)よりウランの濃度を上げた寿命の長い燃料を使い、次世代炉として経済性を大きく高める。

 ただ、米国は1970年代以降、本格的な高速炉開発から遠ざかり、技術実績は乏しい。このため、2019年頃から、同じナトリウムを使うもんじゅや実験炉「常陽」(茨城県)などで多くの蓄積を持つ日本側に接近し、技術協力に向けた交渉を続けていた。

 日本側はこれまでの設計技術や運用データを提供する。大型実験施設「アテナ」(茨城県)で、新しい設計に必要な安全試験も行う。原子力機構を所管する経済産業、文部科学両省が施設整備を支援する。もんじゅは1995年に配管からナトリウムが漏れ、火災を起こしたが、経産省幹部は「米国は失敗も含めた日本の経験を欲しがっている」といい、もんじゅの教訓なども共有する予定だ。

 温暖化対策を重要政策に掲げる米バイデン政権は、日本が蓄積した技術を生かして高速炉の開発を急ぎ、原子力市場の主導権確立を狙う。米原子力エネルギー協会によると、2050年の市場規模は20年の約4倍の40兆円になり、うち10兆円を次世代原子炉が占める。高速炉は有望で、中国やロシアは30年代に商用運転を計画し、先行している。

 テラパワー社のクリス・レベスク最高経営責任者(CEO)は読売新聞の取材に対し、日本側と協議を進めていることを認め、「日本の高速炉の知識、優れた実験施設を活用できれば素晴らしい。日米連携に大きく期待している」と強調した。

  ◆高速炉 =高速の中性子の性質を利用して、通常の原子力発電所(軽水炉)よりもプルトニウムなどを効率的に燃やす原子炉。強い放射線を長期間出す放射性廃棄物の量も減らせる。

残り:513文字/全文:1703文字
読者会員限定記事です
新規登録ですぐ読む(読売新聞ご購読の方)
スクラップは会員限定です

使い方
「科学・IT」の最新記事一覧
2642612 0 科学・IT 2022/01/01 05:00:00 2022/01/01 10:33:55 2022/01/01 10:33:55 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/01/20220101-OYT1I50015-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)