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    「チンパンジーから見た心の世界」「アルツハイマー病を脳の糖尿病として捉える」

    顔から意図を読み取っているのか「チンパンジーから見た心の世界」

    京都大・霊長類研究所 友永雅己教授

     チンパンジーは様々な物の写真の中から顔の写真をいち早く見つけ出す。感情などの情報を宿した「顔」を見つけやすい点で、人間と共通していることがわかる。一方、顔を見る時間は人間より短い。人間が道具を操る様子を見せると、チンパンジーの視点は道具の動きだけに集中したが、人間の赤ちゃんや大型類人猿のボノボは顔にも視線を向けた。

     「意図」を読み取ろうとするか、しないか――。こんな実験から、他者を理解する際の種による違いがわかってきた。チンパンジーやボノボなど大型類人猿の心の働きを比較することを通じて、心の進化の道筋を探っている。


    脳のインスリン低下で認知障害「アルツハイマー病を脳の糖尿病として捉える」

    九州大・生体防御医学研究所 中別府雄作主幹教授

     糖尿病と深く関わるインスリンは膵臓(すいぞう)だけでなく、脳の神経細胞でも作られ、脳に送られた糖を効率よくエネルギーに変えるのに役立っている。

     ところが、アルツハイマー病患者の脳を調べたところ、アミロイドβ(ベータ)という物質が蓄積し、インスリンを作る機能などが低下していた。その結果、神経細胞がエネルギー枯渇などに陥って認知機能の障害が引き起こされていた。また、アルツハイマー病患者が糖尿病を発症すると、脳内の糖をエネルギーとして利用できないだけでなく、高血糖によるストレスが症状を悪化させる悪循環が起きることもわかってきた。

     全国の国立大の研究最前線を紹介する月1回の公開講座。次回は5月18日午後6時から、東京駅前の京都大学東京オフィスで開催する。参加申し込みは、セミナーのホームページへ。

    2018年05月08日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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