読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

[東日本大震災10年 秘話]<5>避難誘導 釜石の奇跡、共助のリレー

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 中学生が小学生を支えながら高台を目指して避難した――。東日本大震災で岩手県釜石市鵜住居(うのすまい)地区の生徒たちが見せた行動は、「避難のお手本」として広く知られることになった。だが、当時釜石東中3年だった菊池のどかさん(25)は、もやもやした思いをずっと抱えてきた。「『釜石の奇跡』なんて言われていますが、小学生が心配だったのに、最初は自分たちだけで逃げたんです」

「避難できたのは地域の人たちのおかげ」と語る菊池さん(5日、岩手県釜石市で)
「避難できたのは地域の人たちのおかげ」と語る菊池さん(5日、岩手県釜石市で)

 大きな揺れが落ち着き、校庭に出た菊池さんら生徒約210人は、村上洋子副校長(63)(当時)の「点呼はいいから、走れ!」の指示で、即座に駆け出した。

 隣接する鵜住居小に動きはなかった。「もし残っていたらやばい」。菊池さんたちは「津波くるぞー、早く逃げっぺー」と校舎に向かい叫んだが、反応はなかった。「津波が来たら、助からない」。そう思いつつ、走るしかなかった。

 すれ違いで、地元消防団6分団の二本松誠さん(57)が小学校の敷地に車を乗り入れた。2人の子供が同小に通っていた。二本松さんが急いで校舎に入ると、児童の多くが3階へ避難している途中だった。「何やってんだ。早く高台へ避難しろ!」。教員たちは慌てて、外に出るよう指示した。

 近くの水門の閉鎖を確認した二本松さんは、仲間の団員と再び校舎へ戻った。停電で校内放送ができない。逃げ遅れがいるかもしれない。案の定、2階に児童数人と教員がいた。さらに保健室には、靴をなくして困っている低学年の子がいた。「はだしで大丈夫だから走れ」。お尻を軽くたたくと、その子は走り出した。

 児童生徒が向かったのは、約800メートル先にある介護福祉施設の駐車場。訓練で確認を繰り返してきた一時避難所だ。菊池さんは、児童たちの姿を見て、胸をなで下ろした。さらに高台を目指し、地域住民と一緒に、児童の手を引いて避難するのはここからだ。

 児童全員が校舎から避難できた経緯を、菊池さんが知ったのは7年後だった。避難の途中には様々な助けがあったとも聞いた。「地域の人たちが私たちを逃がしてくれたんだ」。菊池さんは翌年、鵜住居の震災伝承施設の職員になった。

残り:2960文字/全文:3969文字
読者会員限定記事です
新規登録ですぐ読む(読売新聞ご購読の方)
無断転載・複製を禁じます
1768847 0 企画・連載 2021/01/14 05:00:00 2021/01/14 11:41:31 いのちをつなぐ未来館で、震災の語り部を行っている菊池のどかさん(5日午前10時18分、岩手県釜石市で)=武藤要撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210114-OYT1I50017-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

新着クーポン

NEW
参考画像
お買い上げ金額から10%OFF
NEW
参考画像
1ドリンクサービス(お一人様1杯)
NEW
参考画像
1,000円以上お買上げの方に「とうきび茶」プレゼント
NEW
参考画像
「ふぞろいの牛タン・切り落とし」一品プレゼント!
NEW
参考画像
ファーストドリンク一杯無料

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)