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「今は災害前」意識しよう…「断面」<5>(最終回)

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発生前…食料 最低3日分を備蓄

 災害に備えてまずやるべきことは、居場所の安全確保だ。国土交通省によると、住宅の耐震化率は、2018年の推計値で87%。08年の79%から向上している。さらに、家具の配置や固定にも気を配りたい。

 福島県沖で2月に発生した最大震度6強の地震では、福島市の50歳代男性が、自宅で家財の下敷きになり死亡した。東京消防庁によると、近年の地震の負傷者の3~5割は、家具類の転倒や移動などが原因だ。16年の熊本地震では、熊本市などの世帯の6割が家具の転倒防止策を施していなかった。

 東日本大震災では、ガスや水道などライフラインの復旧に手間取った。国は約30種類の食料や生活必需品を調達する体制を整えているが、道路寸断などで避難所にも十分な救援物資はすぐに届かない。被災地以外でも物資不足が発生する恐れもある。

 家庭では、3日~1週間の食料・燃料の備蓄が必要だ。レトルト食品や缶詰などの買い置きをし、古いものから食べては買い足す「ローリングストック」(回転備蓄)なら、賞味期限切れを防ぎつつ、一定量を備蓄できる。

 事前に準備できることはたくさんある。スマートフォンの防災アプリなどを使いこなす。ハザードマップをもとに避難所まで歩き、危険な箇所をチェックする。自主防災組織の活動や、避難行動要支援者の確認などを通じ、地域で助け合える関係をつくる――。

 他の自治体と災害時に助け合う「応援協定」を結ぶ市区町村も98・1%に達した。防災は進化している。

 ただ、片田敏孝・東大特任教授(災害社会工学)はこう訴える。「日本はリスクをゼロにすることを目指してきたが、災害は防ぎきれない。命を守るのは自分の責任だと、考えを根本から改めるべきだ」

発生直後…避難所 心身の健康注意

昨年7月の九州豪雨で、段ボールの仕切りが設けられた避難所(熊本県八代市で)
昨年7月の九州豪雨で、段ボールの仕切りが設けられた避難所(熊本県八代市で)

 災害が発生したら、命を守ることが最優先だ。地震の揺れから身を守り、津波の危険があればすぐ、高台へ逃げる。夜間や風雨など悪条件下での避難も想定して準備しておくと、大きな差が出る。

 生き延びてからも、試練は待つ。復興庁が岩手、宮城、福島3県18市町村を調べたところ、震災1年後までの震災関連死1263人のうち、638人は「避難所生活の疲労」が一因とみられた。

 国や自治体は、段ボール製のベッドや間仕切りの普及、授乳室や子どもの遊び場の設置、障害者らを受け入れる福祉避難所の指定など、環境改善に取り組んできた。

 さらに、対新型コロナウイルスという観点が加わったことで、避難者同士の間隔確保や消毒の徹底など、長年課題だった対策が大きく前進する可能性がある。

 大震災を機に、被災者の心のケアに当たる災害派遣精神医療チーム「DPATディーパット」や、保健師らの派遣調整を助ける健康危機管理支援チーム「ディーHEATヒート」が誕生したことも大きな収穫だ。

 新潟大の田村圭子教授(災害福祉)は「健康リスクがある人をしっかり見極めたい」と指摘する。

 内閣府のガイドラインでは、避難所運営は「被災者自ら」を基本としている。避難所には、お年寄り、障害者、ペット連れなど、それまで接点のなかった人たちが集まってくる。抱えている問題もまちまちだ。自治会のメンバーらは広い視野を持ち、避難所で起きた問題や住民の要望を聞いて、行政にうまく伝えないといけない。

 阪神大震災を機に注目されるようになったボランティアも大きな存在だ。東日本大震災では、全国社会福祉協議会の把握分だけでも150万人以上が避難所の運営支援や家の片付けなどに尽力したという。いまや被災者が生活再建を進める上でも、欠かせなくなっている。連携が大事だ。

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1898808 0 企画・連載 2021/03/10 05:00:00 2021/03/10 13:15:50 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210309-OYT1I50092-T.jpg?type=thumbnail

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