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10年経っても身元不明の6体、宮城県警捜査班「全ての不明者を家族のもとに」

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 東日本大震災から10年がとうとする今も、身元が特定できていない犠牲者の遺体がある。警察庁によると、1月末時点で宮城県で6体、岩手県では48体。震災で9500人以上が亡くなった宮城県では、県警本部の中に捜査班を設け、担当捜査員らが、資料や情報を丹念にたどる作業を続けている。(後藤陵平)

身元不明者の捜査を率いる菅原さん。捜査班の部屋の引き出しには遺体の写真や資料が収められている(8日、宮城県警本部で)=武藤要撮影
身元不明者の捜査を率いる菅原さん。捜査班の部屋の引き出しには遺体の写真や資料が収められている(8日、宮城県警本部で)=武藤要撮影

 宮城県警本部(仙台市)の地下にある「身元不明・行方不明者捜査班」は、2011年11月に発足した。現在の班員は4人。班長の警部・菅原信一さん(63)は長く鑑識畑を経験し、定年退職後の18年4月に再任用された。

 菅原さんが班長になった時点で、県内の身元不明の遺体は10体。周囲からは「もう分からないんじゃないか」とも言われたが、菅原さんは、班の合言葉「全ての不明者を家族のもとに」を忘れなかった。それぞれの遺体の情報を見直すことから始めた。

 10体の中に、震災発生から3週間後の11年4月3日、同県石巻市沖で自衛隊のヘリコプターに発見された女性の遺体があった。傷みが激しく、着衣や所持品はない。身長は1メートル56、腹部に約20センチの手術痕。同県女川町の検案所に収容されたことから、「女川348」と呼ばれていた。

 被災場所を推定する「マッピングポインティング」という手法を駆使し、捜査班は、被災したのは岩手県南部から宮城県北部の沿岸と推定。該当地域の行方不明届約80枚を精査したところ、女性は42人で、さらに身長や年齢などから、津波で全壊した旧雄勝病院(石巻市)に入院していた阿部清江さん(当時86歳)ら2人に絞り込んだ。

 阿部さんは10人きょうだいの三女。両親ときょうだいは既に全員亡くなり、子供もいなかった。「自治体に問い合わせ、親族の戸籍を可能な限りたどった」という捜査班は、6親等に及ぶ家系図を作り、鑑定に必要な親族を突き止めた。

 鑑定の結果、「女川348」は阿部さんと判明した。それでも捜査員らは念のため、雄勝病院の看護師たちにも会いに行った。写真を見せると、「清江さんだっちゃ」と涙を流しながら確認してくれた。遺骨は昨年12月、遠縁の女性に引き渡された。菅原さんは「ほっとした」と明かす。

 この3年間で、捜査班は阿部さんを含めて4人の身元を確認した。残る身元不明の遺体はあと6体だ。

 「10年がたち、犠牲者を知る人や遺族も少なくなってきている。特定作業を急がなければ」。菅原さんは声に力を込めた。

 ◆マッピングポインティング=海上で見つかった身元不明の遺体について、陸地のどこで被災したかを推定する捜査手法。過去に海で見つかり、その後身元が特定された事例をデータベース化して蓄積し、海流なども加味して、「この海域ならこの沿岸」といった具合に被災場所を絞り込む。震災後、宮城県警で活用されてきた。

 

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1871914 0 ニュース 2021/02/27 05:00:00 2021/02/27 07:00:28 宮城県警身元不明・行方不明者捜索班の菅原信一警部(8日午前10時16分、仙台市青葉区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210227-OYT1I50015-T.jpg?type=thumbnail

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