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原発事故の直後に建屋内部撮影、計測技術者の男性「作業員は今も被曝の危険」「地道な活動継続」

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 神奈川県横須賀市の計測技術者、堂城川どじょうがわ厚さん(52)は2011年6月から翌年まで、360度のパノラマ画像で水素爆発した東京電力福島第一原発の1、4号機原子炉建屋内部を撮影した。事故から10年になるのを機に初めて取材に応じ、「今も被曝ひばくの危険性と向き合いながら働く作業員がいることを知ってほしかった」と語った。

 かつて原子炉の設計に携わった経験がある堂城川さんは、東日本大震災から1か月後の11年4月、原子炉メーカー関係者から「建屋内の破損状態を把握する方法はないか」と相談された。3次元画像の撮影に特化した会社の経営者として、特殊な撮影技術を持つ腕を見込まれた。当時、認知度が低かった360度のパノラマ撮影を提案した。

水素爆発した福島第一原発1号機原子炉建屋(今年2月4日)
水素爆発した福島第一原発1号機原子炉建屋(今年2月4日)

 同年6月、原発で働く作業員らと水素爆発した4号機原子炉建屋で撮影に臨んだ。防護服や全面マスクの隙間をテープで塞ぎ、鉛のベストを着た。機材を設置後、同行した作業員に「何かあったら、(デジタルカメラの画像データを収容した)SDカードを回収してほしい」と伝え、ひとり建屋に残った。

 建屋内部はコンクリートの塊やねじ曲がった配管が散乱し、音ひとつしない空間が広がっていた。撮影地点周辺の放射線量は最大毎時1・2ミリ・シーベルト。約10分間の撮影中、不思議と恐怖は感じなかったという。

 同7月には、炉心溶融した1号機の原子炉建屋1階にも入り、周辺の線量が一時的に同150ミリ・シーベルトに達するなかで撮影した。当時、国は同原発で働く作業員について、特例的に被曝線量の上限を最大250ミリ・シーベルトに引き上げていた。

 堂城川さんは両建屋内を高精度で確認できるパノラマ画像に仕上げた。毎年の検査で健康への影響は出ていない。「撮影画像は契約上、公開は難しいが、自分の技術が役に立ったのなら、意義がある」と語る。5年前に待望の長男が生まれた。「10年前に子供がいたら仕事を受けていなかった。妻は不安もあっただろうが、おくびにも出さなかった。ありがたかった」

 福島第一原発では多くの作業員が危険と向き合いながら廃炉に携わる。撮影に協力した仲間が今もいるかもしれない。堂城川さんは「作業員が地道な活動を続けていることを忘れないでほしい」と訴える。

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1896908 0 ニュース 2021/03/09 15:00:00 2021/03/09 15:00:00 水素爆発のがれきが今も残る東京電力福島第一原発の1号機原子炉建屋(4日午前11時40分、福島県大熊町で)=伊藤紘二撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210309-OYT1I50051-T.jpg?type=thumbnail

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