復興事業、5年間に総額1・6兆円…放射性物質の濃度基準を検証
完了しました
政府は9日、東日本大震災からの復興の新たな基本方針を閣議決定した。2021年度から25年度までを「第2期復興・創生期間」と位置付け、この5年間に総額1・6兆円を投じる。東京電力福島第一原発事故の影響が続く福島に国際教育研究拠点を整備し、食品に含まれる放射性物質の濃度基準の検証も行う。
新たな基本方針では、福島の再生を柱に据える。原発周辺12市町村などに新たに交付金を出し、避難指示が解除された地域へ移住する人の支援に充てる。支援金は最大200万円を想定。住民の帰還促進にも力を入れる。
福島の沿岸部には、産業創出などを目的に国際教育研究拠点を設置する。農作物の集出荷施設を整備し、営農再開を後押しするほか、福島県産食品の風評被害を
福島第一原発で発生し続ける汚染水を浄化した処理水の処分については「先送りできない課題であり、政府として責任を持ち、適切なタイミングで結論を出す」とした。
また、食品に含まれる放射性物質の濃度基準について、妥当性を検証することも盛り込んだ。欧州や米国より厳しい現行基準を巡っては、必要性などで見解が分かれており、科学的な検証を進める。
まもなく10年を迎える被災地では、道路や住宅などの復旧や整備がおおむね終わり、人口減少や産業空洞化、被災者の心のケアなどが課題になっている。
菅首相は、復興推進会議などの合同会合で「福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。この決意のもとに引き続き政府の最重要課題として取り組んでいく」と強調した。