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天平美 感動を詠む…正倉院展短歌・俳句コンクール

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 正倉院展の感想や宝物への思いなどを詠む「正倉院展短歌・俳句コンクール」(主催・奈良国立博物館、読売新聞社、読売テレビ、協賛・セキ、協力・宮内庁正倉院事務所)の入賞作品と入賞者40人が決まった。コロナ禍にもかかわらず、短歌には一般とジュニア(小中高校生)あわせて1052人から計1724首、俳句には1547人から計2541句と前回とほぼ同数の応募があった。応募作品は、正倉院事務所の西川明彦所長、奈良国立博物館の松本伸之館長らが審査した。

短歌 ジュニアの部

最優秀賞

第72回正倉院展 「伎楽面・酔胡従」に見入る人たち(奈良市で)
第72回正倉院展 「伎楽面・酔胡従」に見入る人たち(奈良市で)
伎楽(ぎがく) 面にえくぼしっかりついている
まあとりあえず笑顔で返す
 水野結雅君(13) 名古屋市立守山中1年

 

 

 

奈良国立博物館賞

ぞうのはがくすりだなんてにがそうだのみたくないなうがい手あらい
 鈴木寛乃さん(8) 滋賀・草津市立志津南小2年

読売新聞社賞

正倉に眠る我らはふと目覚め人の世に出る紅葉の季節
 池浦歩さん(14) 奈良女子大付属中2年

読売テレビ賞

しかさんにかまれたあとのふく見たらふんじさいえのもようになった
 茨木康之介君(7) 奈良市・帝塚山小1年

セキ賞

油絵を習いし祖母のアトリエに似た匂いかな琵琶の油色
 鈴木 心渚(ここな) さん(16) 福島県立葵高1年

審査員特別賞

振り返る鳥毛立女 屏風(びょうぶ) 過ぎ微笑み受けて祖母かと思う
 長田直理君(13) 京都教育大付属京都小中 中学1年

見終わって買った図録をぱらり見る 紫檀(したん) の琵琶がもう懐かしく
 片山未悠さん(15) 大阪女学院高1年

優秀賞

風に乗り私のところに来ないかな黄熟香の歴史の香り
 貞信優奈さん(12) 広島・府中市立栗生小6年

見るたびにウキウキはずみサイに乗りアジア旅行だらでんのまほうで
 時田弥子さん(8) 兵庫・小林聖心女子学院小3年

ぼくの歯も薬になればいいのになだって名前にりゅうが付くから
 茨木隆之介君(10) 奈良市・帝塚山小5年

短歌 一般の部

最優秀賞

公式図録
公式図録
教え子の不意のいいなはうれしくて
表紙まだ固き図録手渡す
 楢崎美穂子さん(37) 佐賀県唐津市

 

 

 

 

奈良国立博物館賞

バーチャルも図録も良いが実物は表も裏も空間も有り
 別役昌子さん(58) 大津市

読売新聞社賞

柿の木は我が畑にもあるけれど木箱の内の香かぎたし
 星智代子さん(77) 福島県会津若松市

読売テレビ賞

草の香を知らず円鏡に立ちつくす (さい) の孤独を思ひみるかな
 上田倫子さん(71) 奈良市

セキ賞

水鏡池に映るはモミジの葉院展の列短かくただ鹿のむれ
 塩尻悟さん(80) 奈良市

審査員特別賞

わが姓は 纐纈(こうけつ) といふそのルーツ天平にあり 纐纈(こうけち) の染
 纐纈友国さん(64) 名古屋市

「あらすごい」花の模様のフェルトにてフェルトマスクの母は動かず
 和田康さん(63) 奈良市

優秀賞

天平の薬の香り知りたくてガラス隔てて深呼吸する
 武田優子さん(43) 兵庫県宝塚市

極太の毛糸ざくざく編みながら千年前の薬を思う
 松尾初夏さん(69) 徳島市

手の指を広げて組めば校倉と館の帰りの子は得意顔
 貞住昌彦さん(82) 東京都新宿区

俳句 ジュニアの部

最優秀賞

伎楽面の赤き福耳奈良の秋
 武田奈々さん(11) 兵庫・宝塚市立宝塚小5年

奈良国立博物館賞

藍と紅染まる上着は秋深し
 上條 瑠愛(りゅあ) さん(18) 山梨県立上野原高3年

読売新聞社賞

マスクから鼻はみ出そう伎楽面
 横溝惺哉君(15) 仙台市立吉成中3年

読売テレビ賞

珍奇な素材で装飾した白銅製の鏡
珍奇な素材で装飾した白銅製の鏡
名月と競い作らせし鏡かな
 初岡広さん(16) 滋賀県立膳所高1年

 

 

 

 

 

セキ賞

鏡の中かくれんぼする春の風
 水谷梓さん(11) 兵庫・三田市立藍小6年

審査員特別賞

琵琶をひきライブをしている正倉院
 山本初芽さん(13) 大阪市立天満中1年

瑠璃色に月光を呼ぶ盃よ
 立川和輝君(14) 京都・洛星中2年

優秀賞

天高し故郷遠し香炉獅子
 落合美月さん(14) 兵庫・愛徳学園中2年

花がらの模様の鏡桜さく
 中間颯良君(12) 兵庫・三田市立藍小6年

伎楽面鼻高々ににらめっこ
 藤田優菜さん(13) 和歌山信愛中1年

俳句 一般の部

最優秀賞

文様を表したフェルトの敷物
文様を表したフェルトの敷物
秋深し 花氈(かせん) を敷きて誰を待つ
 上久保忠彦さん(69) 香川県三豊市

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奈良国立博物館賞

秋の音を大耳で聴く 酔胡従(すいこじゅう)
 片山恵美さん(44) 奈良県生駒市

読売新聞社賞

天平の 螺鈿(らでん) に探す桜貝
 鈴木修二さん(71) 名古屋市

読売テレビ賞

稲妻の落とし物なり五色龍歯
 山岸正昭さん(61) 山形市

セキ賞

熱燗(あつかん) で今夜はいこう酔胡面
 久保田智子さん(67) 兵庫県尼崎市

審査員特別賞

爽やかに睨めっこして伎楽面
 安井直人さん(35) 京都府木津川市

バス停めて鹿渡る朝絹の道
 神後政幸さん(68) 大阪府枚方市

優秀賞

疫祓(えきはら) ふ五色龍歯や秋の月
 廣畑真規子さん(72) 和歌山県田辺市

冬うらら丸く笑みたる呉女の面
 光崎賢治さん(76) 愛知県一宮市

宝物もコロナも虫干し正倉院
 佐野勇さん(74) 横浜市

審査評

【短歌】
「古」と「今」の発見
 奈良大学教授 上野誠さん
 長くコンクールをやっていると、そのコンクールごとの歌風のようなものができてくる。今回の入選作を見ると、そこには「古」と「今」の発見が光っていると思う。
 つまり、古代に 対峙たいじ した時の感動、その瞬間をとらえた短歌がずらりと並んでいるのだ。私たち審査員は、選をしながら、そういう作品ごとの古代の発見に。「なるほどぉ、さすがだなぁ。ここに着目するのかぁー」と。

コロナ禍色濃く
 歌人 永田 紅さん
 コロナ禍の影響を作品の上にも色濃く感じた、今回のコンクールだった。
 一般の部の和田さんの歌では、花氈を通してマスクの存在感が際立つ。象の歯の化石、植物の皮や根といった当時の「薬」に意識が向かうのも、今ならではのことだろう。「いいな」と言われて思わず図録を手渡した楢崎さん。図録を詠んだ歌にもよいものが多かった。入場者数が制限された中で、短歌コンクールには例年通り多くの応募作が集まったことがすばらしい。

【俳句】
自分とかくれんぼ
 俳人 長谷川櫂さん

マスクから鼻はみ出そう伎楽面
 横溝惺哉

 伎楽面は子どもたちに絶大な人気。マスクをかけたら、という発想が今回らしい。

鏡の中かくれんぼする春の風
 水谷梓

 角度によって見えたり見えなかったり。自分とかくれんぼしているのだ。

天平の螺鈿に探す桜貝
 鈴木修二

 桜貝があるかも。幻の桜貝である。

稲妻の落とし物なり五色龍歯
 山岸正昭

 龍は稲妻。それが落としていった牙。

面白い想像随所に
 俳人 坪内稔典さん
 ジュニアの部の武田さん、横溝さん、山本さんの句は、福耳、マスク、ライブという現代語が正倉院をぐんと今へ引き寄せています。しかも、どの句もすこしおかしいです。ことに、正倉院がライブしている、という想像はいいなあ。ライブに行かなくちゃ、という気になります。 一般の部でも、「熱燗で今夜はいこう酔胡面」と御物を今に呼び寄せています。伎楽面のあの表情はにらめっこしているのだよ、という安井さんの発見には思わず笑ってしまいました。

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1843869 0 正倉院 2021/02/14 18:00:00 2021/02/16 10:27:19 2021/02/16 10:27:19 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210215-OYT8I50025-T.jpg?type=thumbnail

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