「正倉院の世界」14日開幕、東京国立博物館

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 御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」(主催・東京国立博物館、読売新聞社など)が14日、東京国立博物館で開幕する。天平の美を代表する宝物について、新たな知見も交えて見どころを紹介する。

正倉院宝物…アジア至高の技

平螺鈿背八角鏡 (後期展示) 唐時代・8世紀 直径27.4センチ、縁厚0.7センチ
平螺鈿背八角鏡 (後期展示) 唐時代・8世紀 直径27.4センチ、縁厚0.7センチ
琵琶袋残欠 (後期展示) 唐時代・8世紀 長さ95センチ、幅48センチ
琵琶袋残欠 (後期展示) 唐時代・8世紀 長さ95センチ、幅48センチ

 夜光貝やこうがい琥珀こはく、トルコ石などで美しい文様を描く「平螺鈿背八角鏡へいらでんはいのはっかくきょう」(後期展示)は、聖武天皇の遺愛品として光明皇后が納めたもの。近年、製作された時期が、玄宗皇帝の治世だった最盛期の唐であることがわかった。玄宗皇帝の寵姫ちょうき・楊貴妃は殊の外、宝飾品を好んだという。だとすれば、光明皇后と楊貴妃という日中の「ファッションリーダー」が、共にこの鏡をのぞき込んだのでは――と、想像も広がる。

 唐代最高級の布の一つが「琵琶袋残欠びわのふくろざんけつ」(後期展示)だ。想定される織り幅から日本の倍のサイズの織機を用いたようだ。9色の横糸で豊かな色彩の文様を誤りなく、緻密ちみつに織りなす技術も圧巻。このレベルの作品は中国にも残されていないという。

 インド起源で中国で作られた、世界で唯一現存する「螺鈿紫檀五絃琵琶らでんしたんのごげんびわ」(前期展示)は、ばち受けの装飾にあるラクダの上で、なぜか青年が「四絃」琵琶を弾く。一方、ペルシャ起源で四絃の琵琶の「紫檀木画槽琵琶したんもくがのそうのびわ」(後期展示)の撥受けに描かれるのは酒宴や狩りの場面。くびの形など構造や装飾の違いにも目を凝らしたい。

 シルクロードの薫りが色濃いのがガラス製品だ。中東で作られたとみられる鮮明な青の「瑠璃壺るりのつぼ」(前期展示)とカットグラスの「白瑠璃碗はくるりのわん」(後期展示)は、見果てぬ異国への憧れをかき立てたことだろう。

 当時の日本の技術も侮れない。中国発祥の伎楽に用いた伎楽面「酔胡王」(前期展示)、「迦楼羅(かるら)」(後期展示)の表情の豊かさに注目だ。布に菩薩を描いた「墨画仏像」(前期展示)のおおらかな筆遣いや、平安時代に失われた文様染め技術を用いた布「紺夾纈●几褥(こんきょうけちあしぎぬのきじょく)」(後期展示)の鮮やかな藍の表現も見逃せない。

紫檀木画槽琵琶 (後期展示) 唐または奈良時代・8世紀 全長98.7センチ、最大幅41.7センチ
紫檀木画槽琵琶 (後期展示) 唐または奈良時代・8世紀 全長98.7センチ、最大幅41.7センチ

 26日には、奈良国立博物館で「御即位記念 第71回正倉院展」も開幕する。

法隆寺献納宝物…ペルシャ風「水差し」日本製か

国宝 海磯鏡 (通期展示) 唐または奈良時代・8世紀 直径46.7センチ、縁厚1.7センチ
国宝 海磯鏡 (通期展示) 唐または奈良時代・8世紀 直径46.7センチ、縁厚1.7センチ
国宝 竜首水瓶 (後期展示) 飛鳥時代・7世紀 高さ49.9センチ、胴径18.9センチ
国宝 竜首水瓶 (後期展示) 飛鳥時代・7世紀 高さ49.9センチ、胴径18.9センチ

 「正倉院の世界」展には、43件の正倉院宝物とともに、明治時代に法隆寺が皇室に献納し、国に移管された「法隆寺献納宝物」16件が展示される。東京国立博物館の三田覚之研究員にその魅力を語ってもらった。

 目玉の一つが、光明皇后が、聖徳太子の命日に奉納したとされる直径50センチ近いサイズの国宝の「海磯鏡かいききょう」(通期展示)だ。実は一対の鏡として奉納され、サイズがわずかに違うもう一枚も伝えられている。三田さんは「東大寺大仏殿には『太陽』と『月』を表す一対の鏡が仏前の左右に置かれた。大仏開眼会より前に奉納された一対の海磯鏡は、その先例だった可能性がある」と指摘する。

 首の形が竜で大きな取っ手があるペルシャ風デザインの水差し「竜首水瓶りゅうしゅすいびょう」(後期展示)は当時の技術の粋を駆使した工芸品だ。唐で製作されたとみられてきたが、三田さんは、胴体への有翼馬の描かれ方から、日本で作られたとの見方を強める。銅の胴体に鍍金ときんし、更に鍍銀を重ねる高度な技術を用いており、「ササン朝起源の銀製の器を再現するために、銀器の生産をしていなかった日本の職人が工夫を凝らしたのだろう」。

 飛鳥時代の「鵲尾形柄香炉じゃくびがたえごうろ」(通期展示)は、奈良時代の正倉院宝物の柄香炉と比較したい。カササギの尾に似せたシンプルな造形だった柄の先に、装飾の重りが付くなど機能的に変化していくことがわかる。

 ※●は、「糸(いとへん)」に「施」のつくり部分

無断転載禁止
846109 0 正倉院の世界 2019/10/15 17:00:00 2019/10/15 17:00:00 2019/10/15 17:00:00 平螺鈿背八角鏡(外側の四つの赤い花のうち「傷があるのが下」が正しい置き方) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191015-OYT8I50026-T.jpg?type=thumbnail

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