石巻市

 死者・行方不明者数で、全国市町村の中で最も多い被害を出した。定置網や養殖施設がほぼ全壊し、特産の笹かまぼこ製造などにも大きな被害が出た。石ノ森萬画館などの観光施設も、長期の休業を余儀なくされた。桜の時期に多くの市民が集まる日和山には、近隣住民や近くの小学校の生徒らが避難して難を逃れた。

データ
宮城県石巻市
震災前後の人口の変化(国勢調査から)
2010年160,826人
2015年速報値147,236人
被害状況(市、県まとめ)
死者数3,178人
不明者数422人
住家被害(半壊以上)33,086棟
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「石巻学」創刊 故郷の記憶 雑誌で継承 作家・大島幹雄さん編集

2016年1月12日掲載

創刊号を持ち、「石巻の豊かな歴史や文化をぜひ知ってほしい」と話す大島さん

 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた石巻市を中心とした地域の歴史・文化などを取り上げた雑誌「石巻学」が創刊された。急ピッチで進む復興事業や家屋を失った住民の転居などもあり、地元では「慣れ親しんだ風景や伝統文化が住民の記憶から消えてしまうのではないか」との危機感も強い。雑誌を通じて地元の魅力を再発見し、若い世代へ継承することを目指していくという。(仲條賢太)

 「石巻学」は、石巻市出身の作家・大島幹雄さん(62)が編集責任者を務める。震災後、ほぼ月1回のペースで故郷を訪れるようになった大島さんは、外から来る人を受け入れる土壌が石巻にはあり、豊かな歴史や独特の文化が根付いていると感じた。

 東北地方で地域誌を手掛ける赤坂憲雄学習院大教授(民俗学)に相談するなどして、創刊に向けた活動を2014年に開始。震災遺構の保存に取り組む住民や県内の大学教授などと取材・研究を重ねてきた。大島さんは「石巻の過去、現在、未来をつなぐ地域誌にしたい」と話し、今後、10号程度の発行を目指すという。

 創刊号の巻頭では、写真家の奥野安彦さんが02~03年に撮影した同市釜谷地区の正月行事「大般若巡行」の写真を掲載した。地元の観音寺に伝わる600巻の経文を納めた六つの木箱を若者たちが担ぎ、各戸を回って無病息災などを願う伝統行事だ。震災前の地区内を練り歩く獅子や若者たち、それを見守る子供たちの笑顔が写っている。

 同地区では、計84人が死亡・行方不明となった市立大川小の児童・教職員など、地元住民の約4割が震災で命を落とした。震災後、この行事は途絶えていて、失われつつある伝統行事の一つだという。

 石巻にゆかりがある有名人も登場する。捕鯨の町として栄えた同市鮎川地区出身のラジオパーソナリティー本間秋彦さんは、捕鯨船の船乗りだったという父との思い出や母が住む実家が津波で流された経験などをインタビューで語る。

 「復活の企業」と題した連載では、津波が店舗を襲ったヤマト屋書店(石巻市)の阿部博昭社長が「被災企業は大変な目にあったが、この経験をチャンスに変えなければならない」と思いを話す。津波で流された映画館「岡田劇場」(同市中瀬)に関する連載では、劇場の歴史や興行師一家の姿を大島さんが追いかける。

 大島さんは「津波で失われつつある石巻の記憶や思い出を拾い上げていきたい。地元の人に読んでもらい、郷愁の記憶をつなぐ一つのきっかけになってほしい」と話している。

 県内で地域誌の発行を続ける出版社「荒蝦夷」(仙台市宮城野区)が発行し、県内の書店で販売している。創刊号はA5判・128ページで税込み1620円。問い合わせは、同社(022・298・8455)まで。

ライダー 再び参上!

2012年11月18日掲載

再開した石ノ森萬画館で、仮面ライダーの展示を見る来館者ら(17日、宮城県石巻市で)=武藤要撮影

 東日本大震災の津波で被害を受けた宮城県石巻市の「石ノ森萬画(まんが)館」が17日、1年8か月ぶりに再オープンした。同県出身の漫画家・石ノ森章太郎氏(1938~98年)と親交のあった里中満智子さんやファンらが、寄付金約5600万円を集めるなどして再開にこぎつけた。

 昨年3月の震災で3階建ての1階が水没。2、3階にあった約9万点の原画は無事だったものの、6億円以上の損害が出た。

 この日の来館者は約3400人。同県名取市の相沢蓮くん(9)は「本物の仮面ライダーを見られた」と喜んでいた。火曜休館。来年2月12日から臨時休館し、展示物を刷新して3月23日に再オープンする予定。