大船渡市

 海岸から約1キロにあった老人福祉施設「さんりくの園」で、逃げ遅れた利用者と職員約60人が津波にのまれるなど、市内全域で400人以上が亡くなった。被災し、暫定的にバス高速輸送システム(BRT)が運行するJR大船渡線の盛駅(大船渡市)―気仙沼駅(気仙沼市)間について、震災被災地として初めて不通区間の鉄路廃止が決まった。

データ
岩手県大船渡市
震災前後の人口の変化(国勢調査から)
2010年40,737人
2015年速報値38,068人
被害状況(市、県まとめ)
死者数340人
不明者数79人
住家被害(半壊以上)3938棟
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沿線3市 鉄路あきらめ 大船渡線BRT JR側「新幹線接続改善」

2015年12月26日掲載

 東日本大震災の津波で被災し、バス高速輸送システム(BRT)で仮復旧しているJR大船渡線盛―気仙沼駅間(43・7キロ)の復旧方針が25日にようやくまとまった。東京都内で開かれた第3回「沿線自治体首長会議」で、大船渡、陸前高田、宮城県気仙沼の沿線3市が鉄路復旧をあきらめ、BRTによる本格復旧に合意した。

 会議には、沿線3市の市長のほか、座長を務める山本順三国土交通副大臣や、JR東日本の深沢祐二副社長らが出席した。会議は非公開で行われ、7月の前回会議でJR側が示したBRTによる復旧案について、3市が検討結果を述べた。

 大船渡市の戸田公明市長は「BRTによる本格復旧は、やむを得ない」とし、18日にJRに提出したBRTの持続性確保などを求める要望への配慮を求めた。気仙沼市の菅原茂市長は「(利用者の多い)大船渡、陸前高田の意見を尊重する」とした。

 一方、陸前高田市の戸羽太市長は、市としての結論を示さず、懇談会などで出た市民の意見の集約結果を報告した。一部区間の鉄路復旧を望む声もあるとしたが、JR側はサービスの低下につながるとして、一部復旧を含む鉄路復旧の可能性を明確に否定した。その後、山本副大臣がBRTの受け入れ方針について合意を求め、3市長が容認し、BRTの恒久化が決まった。

 会議で、JR側はBRTによる本復旧にあたって、持続可能な運行と利便性の向上、新幹線との接続改善、旅行商品を通じた地域振興などに取り組む方針を示した。

 会議後、陸前高田市の戸羽市長は「可能性のないものを議論しても仕方ない。残された道の中で一番良い形を模索する方が良い。利便性を高めるための議論を進め、前向きに考えていきたい」と述べた。

 首長会議は今回が最後となった。今後は、3市がJRと個別に協議を進めていく。