宝石サンゴの海で… 

小笠原・伊豆近海ルポ      

YOMIURI ONLINE
制作・著作 読売新聞

 東京都心から約1000キロ。世界自然遺産の小笠原諸島に中国船とみられる漁船団が押し寄せたのは今年9月だ。さらに、都心から約500キロ離れた伊豆諸島南部・鳥島にも姿をみせるようになった。海上保安庁によると、11月には200隻超に上っている。

 目的は高額で取引される、深海に生息する「宝石サンゴ」とみられる。外務省は中国側に再発防止を申し入れ、中国政府も密漁には厳しい姿勢で臨むことを表明した。

4月や7月はひとけただったが、9月以降に急増。200隻以上に上っている。

鳥島(奥)に集結する漁船団。島から約370キロの排他的経済水域内で操業するには、本来は許可が必要だ。

鳥島沖で停泊する漁船も確認できた。領海(22キロ)内であれば外国船は停泊することも認められていない。

日本の漁船は船体が強化プラスチックなのが一般的。中国漁船とみられる船は鉄製で比較的大型の船が多い。

漁船団が集まる背景には「宝石サンゴ」の価格高騰がある。赤サンゴは1キロ600万円で取引されることも。

日本の赤サンゴは品質がよいことから中国国内でも人気が高い。高級品は日本語のまま「アカ」と呼ばれる。

船体に「CHINA」の文字がみえる。サンゴはおもり付きの網を沈めて海底を根こそぎさらうのが一般的だ。

サンゴの成長は遅く、1センチ大きくなるのに50年かかる種も。伊豆、小笠原諸島は数少ない生息地だ。

網で根こそぎさらうことで海底の環境も破壊される恐れがある。漁場が荒らされると心配する地元漁師も多い。

1隻あたりの乗組員は十数人。中国から多くの漁船がサンゴを狙って日本近海に出漁しているという。

小笠原近海では9月から漁船が急増。10月下旬から伊豆諸島近海の鳥島、須美寿島にも姿をみせている。

宝石サンゴは中国でも保護対象の野生生物に指定されている。国内法で採取を厳しく禁じている。

聟島沖の船団。日本国内ではサンゴ漁は許可制で、小笠原では許可を受けている漁船は4隻しかない。

聟島近海を航行中の漁船。操業している様子はないが、船首近くのマストには中国国旗とみられる赤い旗が。

母島沖を進む海保の大型巡視船。海保では航空機も投入して、空と海から24時間態勢で監視を続けている。

小笠原の領海だけでも、東京と千葉を合わせた広さだ。海保では水産庁と連携して取り締まりを行っている。

嫁島沖の不審な漁船。宝石サンゴの密漁は夜に行うのが一般的で、昼間は停泊していることが多いという。

海保は全国から巡視船を集めて警戒に当たっている。ただ、船舶にも限りがあり、ギリギリの運用が続く。

宝石サンゴは島に近い領海内でしか採れない。海保では、不審な漁船は領海外に出るよう指示している。

巡視船の監視の下、領海から離れる不審な漁船。今回の事態を受け、密漁の厳罰化の検討も始まったが…

【取材】東京本社社会部・譜久村真樹 永瀬章人 中部支社写真G・加藤学【空撮】東京本社写真部・佐々木紀明 前田尚紀 林陽一 東京本社航空部【制作】東京本社メディア局企画開発部・堀田梓 荒木田美咲 西川一格
YOMIURI ONLINE Copyright (C) The Yomiuri Shimbun.
今回取り上げた写真の一部は、「よみうり報知写真館」で購入できます