新幹線の半世紀

「遠恋」成就に一筋の光

 「夢の超特急」が誕生したのは、まだメールも携帯電話もなかった時代。新幹線にまつわる二つのラブストーリーをお届けしよう。

 

まるでCMのような…

 彼との交際が始まったのは、横浜の百貨店で働いていた頃。彼はまだ大学生でしたが、96年春に就職して兵庫県に赴任することが決まり、離ればなれに。新幹線で行き来する遠距離恋愛が始まりました。
 帰りには、必ず最後尾車両の指定席を予約しました。車両が動き出すと、自然と涙がこぼれる。泣きやんだのを見計らって、車掌がそっと切符の確認に来てくれたのがうれし かった。
 その彼とは交際から1年9か月後、結婚しました。私にとって新幹線は、彼のもとへ運んでくれる「魔法の乗り物」だったんです。  高校生の頃、テレビCMで東海道新幹線の「ひかり号」の最終電車は「シンデレラ・エクスプレス」と呼ばれていました。まさかCMと同じ境遇にはなるとは思いもしなかった。でも今はこう感じているんです。あれは自分たちのことだったのかなと……。
(大阪在住、42歳)

親子二代で「新幹線恋愛」

 1964年当時は、大阪で小学生。東京五輪のテレビ中継を夢中だったのはよく覚えているけど、新幹線開業はほとんど記憶にない。東京に縁なんてないから……。そう思っていたからでしょう。
 大阪で就職し、28歳の時、親しい友人から「会ってほしい人がいるんだけど」と声をかけられました。紹介されたのは、4歳年上の男性。新大阪から新幹線に乗り、東京駅地下で初めて彼と会いました。
 交際が始まり、結婚するまでの半年間、新幹線で週末に上京し、日曜の夜に帰りました。
 出発すると、有楽町から銀座――。車窓を流れる、まばゆいネオンの明かりで心が和みますが、速度が上がるにつれ、景色は次第に暗闇に包まれていく。「これから遠くへ帰るんだ」と思うと、心は沈みました。
 半年後、結婚し、いまは夫と東京で暮らしています。長男は京都の大学に進学し、京都で就職したのですが、いまは神奈川県で働く女性と遠距離恋愛中。まさか「親子二代」で新幹線のお世話になるとは思ってもいなかった。
(東京在住 60歳)

運転士が選ぶベストビュー第4位・都心の夜景。銀座のネオンをまとい、走る(有楽町で)

ページ一番上の写真:東海道新幹線開業 多くの関係者に見送られ東京駅を出発する「ひかり1号」。1964年10月1日撮影。同日夕刊掲載。

※タイトルイメージに使用の新幹線車両写真はJR東海提供

今回取り上げた新幹線写真の一部は、「よみうり報知写真館」で購入できます
 
協力
公益財団法人 鉄道総合技術研究所  JR東海  JR西日本  久保敏さん  かけやまさん(新幹線側面写真提供)
 
製作
[編集] 東京本社社会部・編成部・校閲部 大阪本社社会部 中部支社社会G 東京本社メディア局企画開発部・川嶋路大 武田潤 同編集部・田口栄一
[デザイン] 東京本社メディア局企画開発部・雨宮健雄 藤垣円 荒木田美咲  [イラストレーション] 荒木田美咲  [フロントエンド開発] 雨宮健雄 西川一格
[写真] 東京本社写真部 中部支社写真G 大阪本社写真部  [動画] 蓑輪潤 西山修平
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