新幹線の半世紀

朝まで点検 安全徹底

 東海道新幹線では毎日、始発電車が走り出す前にマイクロバスほどの大きさの四角い車両が線路上を走っていることは、あまり知られていないのでは。
 この車両は「確認車」と呼ばれ、乗り込んだ作業員2人が、線路や架線などの異常の最終チェックを行い、その日の始発にゴーを出す重責を担っている。
 東海道新幹線の全515キロでは、1日平均で約1000人の作業員が、夜間にゆがんだレールや架線の交換などの保守作業を担っている。この作業が終わった後に登場するのが、7人1組のグループだ。
 線路に横一列に並び、足元を手持ちのライトで照らしながら、作業を行った区間の線路に何か落ちていないか目をこらしながら歩く。作業で使ったハンマーなどの道具はもちろん、小さなボルト一つ落ちていても大事故につながりかねないからだ。社内で彼らはこう呼ばれている。「七人の侍」。
 「徹底したチェックの後でも、念には念を押す」・・これが安全につながっているのだ。

清洲城の横を走り抜けるドクターイエロー(愛知県清須市で)中根新太郎撮影

 2014年2月、首都圏を襲った記録的な豪雪でも、新幹線の強さは存分に発揮された。JR東海ではレール上の積雪を取り除くため、静岡地区から約270人の応援要員を集め、首都圏の職員と加えた約600人体制を敷いた。新横浜―小田原間で、午前0時半頃から、除雪用シャベルや竹ぼうきを使って約50キロにわたって、枕木が見えるようになるまで除雪を行った。
 高速道路や一般道で通行止めが相次ぎ、首都圏の交通がマヒする中、東海道新幹線は39分の遅れは出たものの、運休はゼロ。東海道新幹線は民営化以降の1987年度から2013年度まで、自然災害時の遅れを含めても、1列車当たりの平均遅延時間は最大でも84秒だ。JR東海の柘植康英社長はこう語る。
 「新幹線を支えてきたのは人であり、技術であり、社員の安全意識。新幹線は、勤勉でまじめで誠実な日本人がベースにあるんです」

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新横浜駅のホームに入る「確認車」(横浜市港北区で)三浦邦彦撮影

 新幹線の保守車両で最も有名なのは「ドクターイエロー」。正式な名称は、「新幹線電気軌道総合試験車」で、東海道・山陽新幹線区間を走行して、レールや電気系統の設備に不具合がないかを調べる。黄色の車体は、夜間の作業中にも目立つようにするため。乗客が誤って乗車するのを防ぐ効果もあるという。走行ダイヤは非公開のため、めったにその姿が見られないことから「見ると幸せになれる」という都市伝説も生まれたほどだ。
 東海道が黄色なのに対し、東北、上越新幹線などを運行するJR東日本の保守車両は、白地に赤。こちらは「イーストアイ」という愛称で知られている。

ページ一番上の写真:新横浜駅を出発する「確認車」(横浜市港北区で)三浦邦彦撮影

※タイトルイメージに使用の新幹線車両写真はJR東海提供

今回取り上げた新幹線写真の一部は、「よみうり報知写真館」で購入できます
 
協力
公益財団法人 鉄道総合技術研究所  JR東海  JR西日本  久保敏さん  かけやまさん(新幹線側面写真提供)
 
製作
[編集] 東京本社社会部・編成部・校閲部 大阪本社社会部 中部支社社会G 東京本社メディア局企画開発部・川嶋路大 武田潤 同編集部・田口栄一
[デザイン] 東京本社メディア局企画開発部・雨宮健雄 藤垣円 荒木田美咲  [イラストレーション] 荒木田美咲  [フロントエンド開発] 雨宮健雄 西川一格
[写真] 東京本社写真部 中部支社写真G 大阪本社写真部  [動画] 蓑輪潤 西山修平
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