新幹線の半世紀

リニアの夢 成すのは情熱

 「日本の新幹線は1時間15本の運行を実現し、乗客の事故死傷者はいまだ1人もいない」。今年6月、国際高速鉄道協会の宿利正史理事長(62)は、東京都内で海外メディア向けの講演で胸をはった。集まった海外の記者ら約30人からは、欧州と日本の高速鉄道の違いや、新幹線が社会にどのような貢献ができるかなどの質問が飛んだ。
 協会は4月に発足したばかりだ。JR各社や商社、鉄道総合技術研究所などが加盟する一般社団法人で、その使命は、新幹線の利点を世界に発信し、海外への技術の輸出をアシストすること。
 東海道新幹線が1964年に開業して以来、現在までに東北、上越、長野、山陽、九州と6路線が開通した。来春には長野―金沢の北陸新幹線が開通し、再来年には新青森―新函館北斗の延伸が実現する。これで計約2800キロにも及ぶ国内の新幹線網が完成する。

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2027年の開業を目指し、走行試験を重ねるリニア車両(山梨県都留市で)尾賀聡撮影 2014年7月1日中社会掲載

 東京―大阪間の所要時間はどこまで短くなるのか・・。リニアモーターカーの出現で、この時間は大幅に短縮されることになりそうだ。
 品川―名古屋間にリニア中央新幹線が開通するのは2027年。時速500キロ超のリニアは、東京と名古屋を40分で結ぶ。将来的には大阪まで延伸し、東京―大阪間は一気に67分にまで短縮される。
 日本政府は新幹線やリニアの輸出を成長戦略の柱と位置づけている。米テキサス州には新幹線を、ワシントン―ボルティモア(メリーランド州)間にはリニアモーターカーを開業させようとJR東海とタッグを組んで営業活動を進めている。

シュワルツェネッガー・米カリフォルニア州知事(当時)も新幹線を視察した(2010年9月、東京駅で)

 10月には、高速鉄道に関する国際会議が東京で開かれる。国際高速鉄道協会は今後、こうした様々な場面で日本が誇る鉄道技術を海外にアピールしたい考えだ。その陣頭に立つ、宿利理事長はこう語る。
 「この半世紀、日本は新幹線を磨き上げ、改良を重ねてきた。世界で十分役に立つシステムがあるんです」

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 時速200キロを超える高速鉄道は、日本が世界で最初に完成させた。現在、日本を含め、中国、フランス、ロシアなど13か国で高速鉄道が運行している。また、米国や東南アジアなどで高速鉄道の建設が計画されている。
 フランスでは1981年に高速鉄道TGVが開業すると、いきなり当時の世界最高速度となる時速260キロで営業を始めたことで注目を集めた。その後も、記録を塗り替え、現在でも営業速度320キロは、東北新幹線と並んで世界最高速だ。

ページ一番上の写真:報道陣に公開された超電導リニア車両(山梨県都留市で)立石紀和撮影

※タイトルイメージに使用の新幹線車両写真はJR東海提供

今回取り上げた新幹線写真の一部は、「よみうり報知写真館」で購入できます
 
協力
公益財団法人 鉄道総合技術研究所  JR東海  JR西日本  久保敏さん  かけやまさん(新幹線側面写真提供)
 
製作
[編集] 東京本社社会部・編成部・校閲部 大阪本社社会部 中部支社社会G 東京本社メディア局企画開発部・川嶋路大 武田潤 同編集部・田口栄一
[デザイン] 東京本社メディア局企画開発部・雨宮健雄 藤垣円 荒木田美咲  [イラストレーション] 荒木田美咲  [フロントエンド開発] 雨宮健雄 西川一格
[写真] 東京本社写真部 中部支社写真G 大阪本社写真部  [動画] 蓑輪潤 西山修平
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