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伝統と新たな技法 探究 <富山>

 神職が頭にかぶる「烏帽子(えぼし)」を作る若手職人の四日市健さん(34)。この道50年のベテランに弟子入りして約4年半。新たな技法にも挑戦している。

 高岡市戸出町生まれ。大学進学で上京し、テレビの制作会社などで働いた。30歳になる直前に故郷に戻った1週間後、父から「富山に烏帽子を作る職人がいる」と持ちかけられた。

烏帽子を作る若手職人の四日市健さん

 その職人は四津谷敬一さん(82)。京都市で烏帽子職人として働いた後、故郷の富山市に戻り、制作から販売までを手がける国内ただ一つの専門店を開いていた。

 「仕事場を見てみたい」と四津谷さんを訪ねた。様々な工程を経て、1個の烏帽子が完成するまで1か月かかる。「また明日も良かったら来られ」と言葉をかけられ、ひと月ほぼ毎日通い続けた。 「もし良かったらやらせてください」と弟子入りを申し出た。

 烏帽子職人は全国でもごくわずかで、全工程を一人で手がけるのは四津谷さんだけという。

 烏帽子の制作は和紙を貼り重ね、「しぼ」と呼ばれる表面の凹凸を付けた後、型に当て帽子の形にする。簡単そうに作る四津谷さんの技を盗み、無我夢中で技術を磨いた。

 材料は軽くて丈夫な江戸時代の和紙。毎週日曜日には四津谷さんと北陸各地の朝市に通い、探し求めた。作業に使う良質な炭を探し、2人で宮崎県まで買い付けに行ったこともある。

 「軽くて使いやすい烏帽子」作りへの探求心は止まらないが、伝統の継承にも思いを寄せる。「四津谷さんが受け継いだ技術を自分の代で終わらせず、さらに次につなげていければ」。職人の顔が引き締まった。

(2014/9/1 富山県版の記事より。年齢・肩書きは、新聞掲載日のものです)

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