連載 侍出陣

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大リーガー 代表へ誇り

(福井浩介)

 米大リーグ・アストロズの青木が今年新調したグラブには、日の丸が刺しゅうされている。米国で5年間を過ごし、グラウンド内外で日本人であることを意識してきた。「どんな状況になろうとも喜んで参加します」。昨夏、渡米した小久保監督にそう伝えた。「日本代表として出ることが、自分のやりたかったことだった」。今大会、侍ジャパンで唯一の大リーガーは、代表への強い思い入れを持つ。

 首脳陣が期待するのは、35歳の豊富な経験だ。2006年の第1回、09年の第2回大会で連覇に貢献した。特に第2回は全試合に3番で先発し、打率3割2分4厘、チーム最多タイの7打点。大リーグでは、12年にブルワーズ入りして以降、ナ・リーグとア・リーグを渡り歩き、今季のアストロズで5球団目になる。

 「相手を知っているのと知らないのとでは全然違う。今までとはWBCの見え方が違う」。チーム最年長として、後輩たちに惜しみなくノウハウを伝えるつもりでいる。

 海外には手元で動く速球を駆使する投手が多い。自身も大リーグに入ってから打撃スタイルを変えた。ただし、その対策については軽々しく口にしない。「大事なのはあくまで野球をやること。今まで通り、しっかり準備をしてしっかり野球をやる。聞きたい選手には教えるけど、知らない方がいいこともあるからね」。自然体が何より重要というメッセージだろう。

 2度の世界一は、最高の財産になっている。第1回大会では2次リーグの米国戦で、頭の上から降ってくるような敵地の大歓声を浴びた。第2回大会決勝の韓国戦では、イチローの決勝適時打がスローモーションに見え、鳥肌が立った。参加しなかった第3回大会も、テレビで観戦していたという。「米国に来てからはずっと、日本に頑張ってほしいという気持ちがあった」と明かす。

 小久保監督は1番か2番での起用を明言し、本人は「どの打順でも力を発揮する」と貢献を誓う。「国歌斉唱があれほど自分の中に入ってくる舞台はない。とにかく勝つこと。それだけを意識する」。アストロズキャンプでの調整を経て、代表には3月初めに合流する予定。世界一奪還を目指すチームに、頼もしい男が帰ってくる。

(2017年2月3日読売新聞より)

青木選手

大リーグ経験をWBCでも生かすアストロズ・青木=三浦邦彦撮影

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