連載 侍出陣

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  • [決意の春]
  • 困った時に牧田あり

先発、中継ぎ、抑え経験

(田中誠之)

 投手陣で重要な役割を担うのが、西武の牧田だろう。昨季までのプロ6年間で先発、中継ぎ、抑えと全てのポジションで投げてきた。3日に西武キャンプを視察した小久保監督は「幅広い想定の起用を考えている」と明かし、「『困った時の牧田』みたいな、フル回転というイメージ」と厚い信頼を口にした。チーム全体で日本ハムの大谷が抜けた穴を埋めるにも、投手ではただ一人、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を経験している右腕の存在は心強い。

 下手から繰り出す浮き上がるような球の軌道は外国人打者にはなじみが薄い。100キロを切る変化球もあり、緩急で相手のタイミングを外す。昨季の「スピードアップ賞」を受賞した投球リズムも武器だが、「外国人は速いテンポだと合わせられることもあるが、逆に長く持ってじらすとイライラする」と、これまで培った投球術もある。

 初出場だった2013年大会では、リリーフで3試合に登板し、1勝1セーブ、3回無失点の成績を残した。2次ラウンドの台湾戦では同点の九回裏に小フライとなったバントをダイビングキャッチ。ピンチの芽をつみ取り、直後の味方の勝ち越しにつなげる気迫も見せた。

 1月初めの今季の始動から滑りやすいとされるWBC用のボールを使い、このキャンプでもほとんどの練習で握っている。初日から第1クール最終日の3日まで連日ブルペンに入り、2日には80球以上を投げ込むなど調整は順調。球が抜けることもあるというが、「数をこなすしかない」とブルペンや打撃練習での投球を重ねることで適応していくつもりだ。

 準決勝で敗れ、大会3連覇を逃した前回は決勝ラウンドでの登板機会がなく、「日本の野球の素晴らしさを世界に見せたい」と雪辱を誓う。小久保監督から寄せられる期待に応えるべく、「任された場所で、打者に向かって自分の持っているパフォーマンスを出すだけ。初球からどんどん勝負のつもりでいきたい」。頂点をつかむため、32歳のサブマリンは目の前の1球に集中している。

(2017年2月5日読売新聞より)

牧田投手

フル回転が期待される西武・牧田=野本裕人撮影

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