連載 侍出陣

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  • [決意の春]
  • 山田 走攻のキーマン

「スピードでかき回す」

(飯田雄太)

 24歳の若き侍は、バットでも足でもチームに貢献する覚悟だ。「長打が出なくても、四球やヒットで出塁できれば、スピードでかき回せる。チャンスメーカーにもなる」

 侍ジャパンが攻撃的布陣を敷くなら、史上初の2年連続トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁以上)を達成したヤクルト・山田は、間違いなく「走」と「攻」のキーマンとなる。短期決戦で少ない好機をものにするためには、「しっかり状況判断して打席に立たなければいけない」と言い切る。どの打順に入ってもバントや進塁打など自己犠牲をいとわないつもりだ。

 勝負所で普段通りの力を発揮できるかは、「情報収集や事前準備も大事」と見る。ヤクルトの先輩で、過去のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)や大リーグでの豊富な経験を持つ青木(アストロズ)に、投手の特徴や球種、試合への入り方を聞いて対策を練るつもりだ。

 昨季までより調整を早め、オフは筋力トレーニングに力を入れ、体重は5キロほど増。「体に重さを感じたり、スピードを落としたりすることなく一回り大きくなれた」と手応えをつかむ。4日の特守では1時間近くノックを受け、グラブの出し方やバックトスなど基本動作を繰り返した。6日からの第2クールではシーズン中のルーチンとしてきた10種類以上のティー打撃を再開するとともに、WBC使用球に慣れるため個人練習も進めることにしている。

 二人三脚で山田を指導してきた杉村チーフ打撃コーチは「超一流の域に達しつつも、自分というものを十分に理解し、おごることなく反復練習を徹底できることが(山田)哲人の強み」と評する。本人は「自分の打撃はいい時、悪い時で波が出てしまう。その波を少なくしなければならない」と謙虚に課題を見据える。

 まだ18歳だった入団記者会見で、「日の丸を背負う選手になりたい」と目標を語った山田。その夢の舞台で、自分らしさを出せるのか。「今は未知の世界。ただ、そこに立った時、新たに見えてくるものがあると思う」。世界一、そして前人未到の3年連続トリプルスリーに挑むこの一年は、野球人生で大きな分岐点となりそうだ。

(2017年2月6日読売新聞より)

山田選手

攻撃面のキーマンとなるヤクルト・山田=松田賢一撮影

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