連載 侍出陣

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  • [決意の春]
  • 筒香 主砲の探求心

左翼への長打 武器に

(佐藤雄一)

 44本塁打、110打点で2冠に輝いた昨季は、一振りで試合を決める破壊力と勝負強さを発揮したDeNAの筒香。「チームが勝つために何ができるか」を優先し、状況に応じた打撃もできる。侍ジャパンの主砲を担う資質は十分にある。

 「国際大会で通用する逆方向に強い打球を打てるところが一番の武器」。小久保監督は25歳の左打者の能力を高く評価する。対戦機会やデータが限られた中で重要になる技術を備えているのも強みだ。「逆方向」への打撃は、2011年オフから取り組んできた。一時期は成績が低迷し、「振り遅れている」などと批判されたこともあったというが、15年は0本だった左方向への本塁打が昨季は12本と一気に増えた。理想の打撃像に近づきつつある。

 成長を支えるのは、研究熱心さ。15年のオフは志願してドミニカ共和国のウィンターリーグに参加。外国人投手の手元で変化する球に対応できるよう右足をあまり上げないフォームに修正した。現在はヘッドからグリップまで同じ太さで振りづらい形状のバットをティー打撃で使い、無駄のないスイングを磨く。DeNAの坪井打撃コーチは「一流は探求心が強い。成績を残しても打撃フォームを見直すイチロー(現マーリンズ)のように、毎年新しい挑戦をしている」と語る。

 「WBCに向けたわけではない」というが、仕上がりは上々だ。3日のフリー打撃では強烈な打球がスコアボードを直撃し、大きな穴が開いたほどだ。ラミレス監督は実戦感覚を養わせるため、紅白戦や練習試合で20打席ほど起用し、万全の状態で代表へ送る考えだ。

 第1回WBCが行われたのは、中学生の時。自宅の敷地に建てられたビニールハウスで連日練習に励んでいた野球少年は、学校の教室でテレビ観戦した。憧れのイチローらが活躍する姿に、「かっこいいな、ああいうふうになりたいなと思った」という。

 今や、自身が日本全国の子供たちから力強い打撃を期待される立場になった。「夢や活力を与えるようなプレーをしたい」。左の大砲は持ちうる力を出し切る覚悟だ。

(2017年2月9日読売新聞より)

筒香選手

フリー打撃で柵越えを連発する筒香=松田賢一撮影

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