璃花子なら負けない…広がる激励「治療専念を」

[読者会員限定]
無断転載禁止
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

アジア大会で6個の金メダルを獲得し、MVPに輝いた競泳の池江璃花子選手(昨年8月、ジャカルタで)=吉野拓也撮影
アジア大会で6個の金メダルを獲得し、MVPに輝いた競泳の池江璃花子選手(昨年8月、ジャカルタで)=吉野拓也撮影

 「璃花子なら大丈夫。必ず乗り越えられる」――。2020年東京五輪での活躍が期待される中、白血病を公表した競泳女子の池江璃花子選手(18)。日頃の頑張りを知る選手仲間や指導者のほか、闘病経験者らの間にも励ましの声が広がった。記者会見した日本水泳連盟の幹部やコーチらは、病に立ち向かおうとする池江選手の様子を明かし、「まずは治療に専念してほしい」と思いを語った。

 「皆様へご報告があります」。池江選手が自身のツイッターで白血病との診断を公表したのは12日午後2時。驚きが広がる中、2時間後、日本水泳連盟の上野広治副会長・強化担当(59)や池江選手を指導する三木二郎コーチ(35)らが、東京都内で記者会見を開いた。

 三木コーチらによると、池江選手は1月18日から豪州で強化合宿に臨んでいた。1月下旬、普段なら問題なくこなせる程度のトレーニングでも肩で呼吸をするなど、「これまで見たことがないような様子」(三木コーチ)を見せ、体調不良を訴えた。2月4日に現地の医療機関を受診した後、合宿を2日早く切り上げて8日朝に帰国。そのまま入院し、白血病と診断された。

 実は池江選手は豪州に行く5日前、競技会で女子100メートルバタフライが自己記録より4秒以上遅く、「自分でもびっくりするくらい遅い」と語っていた。三木コーチは会見で「疲れが取れれば調子が上がってくるんじゃないかと2人で話していた」と明かした。

 診断後、池江選手は周囲に気丈な様子を見せ、三木コーチには「早く治して、また二郎さんと練習できるように頑張りたい」との思いを伝えたという。

 病気の公表は池江選手の意思だった。「非常にびっくりするくらい、やる気、モチベーション(意欲)、病気に立ち向かう姿勢を見せている」。三木コーチはこう話し、上野副会長とともに「前向きな姿勢に頭が下がる」と繰り返した。

 会見では詳しい病状や治療方針については明かされなかった。4月の日本選手権は出場を断念するが、東京五輪の代表は来年春の日本選手権で決まる見込みだ。三木コーチは「(東京五輪に)間に合わせるという気持ちを本人は持っていた。本人が一番つらいと思うが、しっかり受け止め、完治を優先して取り組む姿勢がみえた」と語った。

 仲間ら「いい泳ぎで励ます」

 水泳界では、01年に急性白血病と診断されたマーテン・ファンデルバイデン選手(オランダ)が化学療法と幹細胞移植などで克服し、03年に競技会に復帰。08年北京五輪のオープンウォーター男子10キロで金メダルに輝いた例がある。競技仲間らからは池江選手の復帰を願う声があがっている。

 五輪3大会連続でメダルを獲得し、16年リオデジャネイロ五輪では池江選手とチームメートだった松田丈志さん(34)は、「彼女の活躍、成長ぶりには、ずっと驚かされてきた。再びスタート台に立って、今度も私たちの想像を超える姿を見せてほしい。彼女なら乗り越えられると思う」と語った。

 この日、合宿先のグアムから帰国したリオ五輪の金メダリスト萩野公介選手(24)(ブリヂストン)は、成田空港で報道陣の取材に応じ、「僕たちができるのは、一生懸命練習して、試合でいい泳ぎをして、彼女にいいニュースを届けるのが最大限」と、毅然きぜんとした面持ちで言い切った。

 五輪2大会連続2冠の北島康介さん(36)も所属事務所を通じて「治療に専念できる環境を作ることが大事だと思います」との談話を発表した。

 2度の白血病を乗り越えた俳優・渡辺謙さん(59)は自身のツイッターで「何故なぜ今自分がと絶望感にさいなまれているのではないかと思います。今の医学を信じ、自分の生命力を信じ、焦らずにしっかり治療に専念して下さい」と激励した。

 池江選手が小学生の頃に通っていた東京都江戸川区の「東京ドルフィンクラブ江戸川スイミングスクール」。池江選手を指導した清水桂さん(43)は「精神的にも肉体的にもとても強い子だから、100%復帰する。璃花子なら大丈夫」と話した。スクールに通う小学3年西蔵優君(9)は「池江選手は偉大な先輩で、一番の目標。東京五輪で金メダルを取る姿を見たい」と応援していた。

 池江選手のツイッター全文

 応援してくださる皆様、関係者の皆様へご報告があります。

 日頃から応援、ご支援を頂きありがとうございます。この度、体調不良としてオーストラリアから緊急帰国し検査を受けた結果、「白血病」という診断が出ました。私自身、未だに信じられず、混乱している状況です。ですが、しっかり治療をすれば完治する病気でもあります。

 今後の予定としては、日本選手権の出場を断念せざるを得ません。今は少し休養を取り、治療に専念し、1日でも早く、また、さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張っていきたいと思います。これからも温かく見守っていただけると嬉しいです。

 池江璃花子

 池江璃花子(いけえ・りかこ)

 東京・淑徳巣鴨高3年、ルネサンス所属。東京都出身。2018年日本選手権で出場全4種目で日本新記録を樹立。同年アジア大会では日本競泳初の6冠を達成し、大会最優秀選手(MVP)に選ばれた。長水路の個人5種目、リレー5種目(男女混合含む)の計10種目で日本記録を持つ。今春、日本大に進学予定。

 「急性」と「慢性」■若年世代で目立つ

 白血病は血液のがんの一つで、病気の進行が速い「急性」とゆっくりと病気が進む「慢性」がある。さらに細胞のタイプにより、「骨髄性」と「リンパ性」に分けられる。 国によると、2016年に白血病と診断された人は1万3789人。15~19歳は191人で、同世代でのがんでは白血病が最も多いという。 若年世代の血液がんに詳しい堀部敬三・国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター長によると、10歳代後半の白血病は抗がん剤を組み合わせた治療などで7割が完治する。治療には半年から2年程度かかるという。 白血病患者の相談を受けるNPO法人「全国骨髄バンク推進連絡協議会」の梅田正造副理事長(67)は「若いし才能があるから、ゆとりをもって治療してほしい。池江さんが病と闘う姿を見せることで、同じ病気に苦しむ患者たちの光になると思う」と話した。

441234 1 その他 2019/02/13 08:52:00 2019/02/13 08:54:51 2019/02/13 08:54:51 第18回アジア競技大会。競泳。女子50メートル自由形で優勝し、6個目の金メダルを手に笑顔を見せる池江璃花子。アジア大会は今回が初出場で、個人4種目を制し、リレーは4種目中2種目で勝ってメダルは金6個、銀2個を獲得した。ジャカルタで。2018年8月24日撮影。同月25日朝刊「池江 日本初6冠 70・74年大会の記録更新 アジア大会・競泳」掲載。 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190213-OYT1I50032-T.jpg?type=thumbnail

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ