自分の手で書き残すからこそ…57年前の東京五輪、日本中でつづられたはずの「熱狂の記憶」

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 この夏の東京五輪・パラリンピックの記憶とともに、デジタルで保存されている競技結果をインターネットで探し出すことは現代社会では難しいことではない。ここに、「オリンピック記録ブック 1964東京大会」という手帳がある。57年前の東京五輪に際して発売され、各競技の結果を書き込めるようになっている。持ち主は東京・駒込在住だった当時40歳の片山充子さん(93年没、享年68)で、選手名や数字が几帳面に記録された実物をご家族からお借りした。アナログな記録帳からは、戦後20年を迎えようとしていた当時の日本が、世界に向けた平和の祭典の成功を願い、後世まで忘れまいと誓った熱意がひしひしと伝わってくる。(編集委員 千葉直樹)

「ハッスル」する選手たち 円谷幸吉の珍しい写真も

選手名やタイムが書き込まれたマラソンのページ。上位にアベベ、ヒートリー、円谷らの名前が見える
選手名やタイムが書き込まれたマラソンのページ。上位にアベベ、ヒートリー、円谷らの名前が見える

 記録ブックは大阪の文秀出版社が1冊150円で売り出した。新書判よりわずかに大きなサイズで128ページ。各ページには、競技の見どころや余話が「わだい」として盛り込まれた。「東京大会の全内容を、トランジスタにした国民必携のメモ帳」と (うた) っている。

 さっそくページをめくる。

 表紙の裏には当時の日本の有力選手の写真が並ぶ。タイトルは「ハッスルする日本選手の横顔」。「ハッスル」はクレージー・キャッツ主演のいわゆる「無責任シリーズ」の映画にもよく出てきた当時の流行語で、高度成長期の昭和のにおいがしてくる。

堂々の見開きページで「ハッスル」する選手たち。メインの大きな写真は小野喬と君原健二。円谷幸吉は右端に掲載
堂々の見開きページで「ハッスル」する選手たち。メインの大きな写真は小野喬と君原健二。円谷幸吉は右端に掲載

 メインの位置に「鬼に金棒、小野に鉄棒」の小野喬(体操)と君原健二(陸上)。「東洋の魔女」の河西昌枝(バレーボール)、三宅義信(重量挙げ)、アントン・ヘーシンク(オランダ)と対戦した神永昭夫(柔道)らの顔も並ぶ。円谷幸吉(陸上)はサングラスをかけて走っているように見える。珍しい写真だ。

 参加予想国名と略号一覧のページには75か国・地域が印刷され、片山さんが14か国・地域を加筆している。この大会の参加国・地域は94だった。略号は現在ならアメリカ(USA)、日本(JPN)のように国際オリンピック委員会(IOC)国名コードのアルファベット3文字だが、この記録帳ではカタカナ、漢字の表記だ。片山さんもこの略号に倣って記入している。

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