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本格的にスポーツをしながら、引退後の生活を見据えて、仕事を身につけようとするアマチュアアスリートが増えている。「デュアルキャリア(2種類の進路)」という考え方で、背景には、企業チームの相次ぐ廃部などがある。

練習は夜
「ベルトを査定するポイントはどこですか?」。東京都足立区のブランド品買い取り店で、先輩社員に質問するのは関東サッカーリーグ2部「南葛SC」に所属する布施

布施さんは関西大学を卒業後、日本フットボールリーグ(JFL)のチームに入団。給料で生活費を賄うのが精いっぱいで、アルバイトをしたが、貯金はできなかった。

Jリーガーを目指したが、25歳で戦力外通告を受けた。まだできると思ったが、経済的な不安から引退を考えた。そんな時、誘われたのが南葛SC。入団後、チームの主要株主「バリュエンスホールディングス」(東京)の子会社が経営するブランド品買い取り店で、契約社員として査定や接客が学べることになった。
商品の知識が増えると、接客にも自信がついてきた。練習は夜に限られているが、「収入が安定したので、不安なくサッカーに打ち込める。将来も続けたい仕事にも出会えた」と前向きだ。
同社はサッカーやバスケットボールなどの選手15人を同様に採用している。社長の
企業チーム減少
高校や大学卒業後、一線で競技を続ける人の受け皿となっていたのは企業チーム。だが、2008年のリーマン・ショックなど、経済状況の悪化で減少している。
日本野球連盟加盟の企業チームを見ると、1963年は237あったが、昨年4月は97に。他競技でも名門チームの休廃部が相次ぐ。日本オリンピック委員会(JOC)が2016年の強化指定選手を対象に行った調査で45・9%が「就職先があるのか不安」と回答しており、コロナ禍で、状況が悪化した可能性もある。
JOCは、企業と就業希望の選手のマッチング事業を行っている。文部科学省も12年に策定した「スポーツ基本計画」でデュアルキャリアの重要性を明示し、支援する方針を示している。
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