現在位置は
です

本文です
高校スポーツ最前線

挫折で成長 王道再び…レスリング 藤波勇飛(三重・いなべ総合学園高2年)

 史上4人目の快挙となる全国中学選手権3連覇を成し遂げて、昨春に意気揚々と父・俊一さんが監督をつとめる強豪高校の門をくぐった。周囲のだれもが華々しい活躍を信じていた。藤波の胸にも「自信」しか詰まっていなかった。

 それが、昨年の高校総体は55キロ級準々決勝で敗れて5位に終わった。「どうやって控室へ戻ったのかも覚えていない」。前途洋々のはずだった高校生活は挫折から始まり、高くのびていた鼻はポキンと折れた。

 全国中学選手権で過去に3連覇を達成したのは、北京五輪銀の松永共広、世界選手権代表の松本真也、小田裕之の3人しかいない。いずれもその後は、日本を代表するレスラーとして活躍しており、エリートへとつながる実績といえる。高校で歩むはずだった「無敵街道」は、出はなをくじかれることになったが、ここから再び復活を目指した。

 1年前の敗戦は、身長が急激に伸びる成長期の減量苦が大きく影響したが、藤波は心の未熟さを原因に挙げる。「足元を見ていなかった。上ばかりを見てしまっていた。攻めの気持ちも足りなかった」と振り返る。順風満帆な競技生活が、守りの姿勢につながっていたことに気づいた。「勝つことが大切なのに、試合では1ポイントも取られたくないと思うようになった。格好いい勝ち方を意識するようになっていた」

 かつては五輪を目指し、指導者として多くの選手を育ててきた俊一さんの元へは有望な選手が集う。そんな仲間たちと、泥臭く勝負にこだわる実戦練習を繰り返してきた。持ち味のスピードに磨きをかける一方、リードされても慌てない試合運びができるようになった。

 親子(だか)として注目されるため、俊一さんは、意図的に息子に厳しく接しているが、その父も「あの負けで変わった。周囲が見えるようになり、集中力が増した」と成長を認めるほどだ。

 5月に全国高校総体の個人戦(60キロ級)と団体戦の出場権を得た。「個人戦も団体戦も、勝つ」と藤波。高校生王者に駆け上ることが、夢のオリンピック出場への第一歩になると信じている。(新宮広万)

 

 ◇ふじなみ・ゆうひ 三重県出身。小学2年から本格的にレスリングを始め、三重・西朝明中で全国中学選手権V3。2011〜13年のJOC杯ジュニアオリンピック(カデット)も3連覇した。1メートル72。

2013年6月18日12時00分  読売新聞)
現在位置は
です