投打に傑出、大阪桐蔭4度目の頂点…決勝も4本塁打含む16安打で被安打4

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大阪桐蔭の栄光の軌跡、第94回選抜高校野球大会 トーナメント表
3回大阪桐蔭、田井がソロを放つ=木佐貫冬星撮影
3回大阪桐蔭、田井がソロを放つ=木佐貫冬星撮影

 第94回選抜高校野球大会は31日、決勝が行われ、大阪桐蔭(大阪)が投打ともに近江(滋賀)を圧倒して、4年ぶり4度目の優勝を遂げた。夏の甲子園を合わせると9度目の頂点となった。打線は、4本塁打を含む16安打で初回から得点を重ね、3試合連続の2桁得点、2桁安打となった。投打ともに好選手をそろえ、相手チームを寄せ付けない盤石の試合運びだった。

大阪桐蔭の甲子園初戦「打線の修正能力が際立った」…解説・元キャプテン「ミノルマン」こと広畑実氏

大阪桐蔭18―1近江

 大阪桐蔭は三回に松尾の2ラン、田井のソロ、六回に海老根の3ラン、八回に谷口の満塁弾と本塁打で10点。適時打5本で7点と着実な攻めも披露した。前田、川原の継投も付け入る隙を与えなかった。近江は山田が早期降板し、打線も4安打と振るわなかった。

「とにかくセンター返し」が結実

 甲子園という大舞台で本塁打を放つ選手が一人でもいれば、監督は心強いだろう。大阪桐蔭には、そんな打者が「7人」もいた。

 三回二死、6番田井がフルカウントからの6球目をコンパクトに振り抜くと、甲高い金属音を響かせて打球はバックスクリーンへと一直線に飛んでいった。田井は「甘いところに来たら、たたいてやろうと思っていた」と鋭いスイングだけを心がけていたという。

 大阪桐蔭打線は決して大振りせず、鋭くはじき返すことを念頭に置いている。近江の2番手・星野は「失投を見逃さず、1球で仕留められた。ほかにはない強さ」とスイングに込められた意思に圧倒された。

 この試合だけで4本塁打。準々決勝からの3試合で11本塁打と、その長打力は大会を席巻した。満塁、代打、2打席連続、チーム大会通算最多など、記録ずくめのアーチ11本は計7人のバットから生まれている。

 だが、チームづくりで長距離打者を求めていたわけではない。八回に満塁本塁打を放った谷口は「自分たちは本塁打を打てるチームではない。何とかつなごうという意識だった」と言う。西谷監督も「とにかくセンター返しと言い続けた。それが結実した」と振り返る。

 今大会の全18本塁打中、11本を大阪桐蔭が放った。春にこれほど投打に傑出したチームを破るライバルが、夏に出てくるのだろうか。(新田修)

負けず嫌い背番号「11」前田、攻めの投球続け11奪三振

7回2安打と好投した大阪桐蔭の前田=青木瞭撮影
7回2安打と好投した大阪桐蔭の前田=青木瞭撮影

 大阪桐蔭の前田は負けず嫌いだ。家族とのゲームで負ければ勝つまで何度も挑む。そんな2年生左腕投手は、昨夏の甲子園2回戦で近江に敗れた試合をスタンドで見ていた。「借りを返す」。絶好の舞台に、燃えないはずはなかった。

 粘り強い近江打線には決め球の制球ミスが命取りになる。選手ごとに投球のタイミングをずらし、内角を意識させては外角変化球で空を切らせた。失策絡みで1点を返され、二死一塁で好調の1番津田を迎えた五回も、外角ツーシームで見逃し三振。七回を終えマウンドを譲ったが、そこまでに11個の三振を奪った。

 捕手の松尾が「気持ちの強い投手」と認めるように、気を緩めることなく攻めの投球を続けた。一方で、強打が目を引くチームだからこそ、「四球を出さず、試合の流れを作ること」を意識する。言葉通り、四球は2試合13回で二つにとどめ、「できる全てを出し切った」と胸を張った。

 心も、技も鍛え上げ、2年生で唯一ベンチ入りする。背番号「11」ながら、秋から無敗のチームを支える屋台骨と言っていい。(後藤静華)

大阪桐蔭が1大会チーム通算最多本塁打

 31日の近江戦で1大会でのチーム通算本塁打を「11」に伸ばし、38年ぶりに大会新記録を樹立した。準決勝までで7本塁打を放っており、決勝で松尾、田井、海老根、谷口の4人が4本塁打した。従来の記録は、清原和博、桑田真澄らを擁した第56回(1984年)のPL学園(大阪)の「8」だった。

近江の山田、志願の先発も実らず

志願の先発も実らなかった近江・山田
志願の先発も実らなかった近江・山田

 前日に死球を受けた左足の痛みは消えない。たった一人で投げ抜いてきた疲労もある。それでも近江の山田は、真っさらなマウンドに向かった。大一番の朝、多賀監督に先発を志願した。

 最速140キロ台後半の直球は130キロ台にとどまり、変化球でなんとかかわす。本来の投球にはほど遠い。昨夏は抑えた大阪桐蔭打線だが、この日は容赦なかった。一、二回に1点ずつ奪われ、三回は先頭打者に死球を与えた。続く3番松尾への初球だった。力のない直球が真ん中に入り、ライナーで左翼席に運ばれた。

 直後、自ら降板を求めた。5試合で594球を投げ、限界だった。「これ以上チームに迷惑をかけるわけにはいかない」と決断した。

 繰り上げで急きょ出場し、右肘の故障明けでエースとして奮闘した。準優勝までたどり着いて痛感した。「日本一の壁はまだまだ高い。大阪桐蔭を倒すしかない」。悔しさを糧にチームとして成長し、夏こそ万全の状態で頂点に挑む。(井上雄太)

「コロナ」「球数」丁寧な検証を 大会総評

 今大会は開幕直前に京都国際(京都)、期間中に広島商(広島)で新型コロナの集団感染が判明し、出場辞退を余儀なくされた。球場のある兵庫県への「まん延防止等重点措置」は途中で解除されたが、コロナ下での大会運営の難しさが改めて浮き彫りになった。

 広島商は1回戦の後に同宿者35人中、11人の感染が判明した。学校側は「外部との接触はなかった」としており、どの学校でも感染は起こりうるといえる。

 大会本部は今大会も感染拡大予防ガイドライン(指針)を定めたが、各校がどのように対策を取っているかまでは把握していないという。ガイドラインでは1人部屋が望ましいとあるが、ある出場校の関係者は「ホテルが3人部屋で不安があった」と漏らした。大会本部は可能な限り調査して今後に生かすべきだろう。

 コロナの影響はプレー面にも表れた。直前の対外試合が制限された学校も多く、生きた球を見る機会が少なかったためか、ボール球に手を出す場面や守備のミスも目立ち、「実戦感覚が戻らない影響が出ていた」という監督の声も聞かれた。大会本塁打は18本出たが、大阪桐蔭(大阪)が11本、浦和学院(埼玉)が4本を占めるなど偏りが見られた。

 「1週間で500球以内」の投球数制限が春夏の甲子園大会で適用されるのは2年目となった。2戦目以降でエースを先発させなかったチームもあり、複数の投手を育てる意識は浸透しつつあるようだ。浦和学院は準決勝でエース宮城の登板を回避した。ただ、依然としてエースに頼らざるを得ないチームの実情もある。

 近江(滋賀)の山田は今大会、4試合をひとりで投げ、決勝も途中までマウンドに立つなど、投球数は12日間で計594球に及んだ。選手の体を守るためにも、球数の妥当性のほか、雨で1日削られた休養日のあり方も含め、丁寧な検証が求められる。(新田修)

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