[あきらめない夏]<上>磨いた速球 甲子園で

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

投球練習を行う明石商の中森
投球練習を行う明石商の中森

 今夏の全国高校野球選手権大会の中止が決まってからまもなく1か月。目標を失った球児たちはショックをどう乗り越え、指導者はどのように向き合ってきたのか。思いを追った。

       ◇

 野球をできる喜びが、足元に表れていた。15日、約2か月ぶりに全体練習を再開した明石商(兵庫)のエース・中森俊介(3年)は、選抜大会で履く予定だった真新しいスパイクをおろした。高ぶる気持ちを抑え、投球の感触を確かめた。

 最速150キロ超の速球を誇り、鋭いスライダーで三振を奪う右の本格派。1年の夏から救援で甲子園のマウンドに立った。「最初は大歓声に緊張した。それが、大歓声に力をもらえるようになった」。背番号1をつけた昨年は春夏連続で4強入りの立役者となった。

 新型コロナウイルスの影響で選抜が中止となっても、夏を信じて準備を続けた。4月に休校となり、県内の自宅に戻ってからも練習に取り組んだ。大リーグの前田健太(ツインズ)の動画を参考に「リリースの瞬間だけ力を加える感覚」を磨き、直球は威力を増したという。

 夏の中止をネットのニュースで知った時には、公式戦をできないまま高校野球を終えることもよぎった。それが県の独自大会や選抜出場校による甲子園での交流試合が決まり、「あきらめかけていた夏の試合ができる」と奮い立った。交流試合は無観客で1試合のみだが、「最後は勝って終わりたい」との思いは変わらない。練習に熱がこもればスパイクは2週間で履きつぶす。まだ数足は必要だ。

       ◇

 「みんな切り替えられているようで安心した」。15日、やはり全部員が顔を合わせた健大高崎(群馬)で、主将の戸丸秦吾しんご(3年)は安堵あんどの表情を浮かべた。

 昨秋の関東大会を制し、明治神宮大会は準優勝。選抜では優勝候補の一角とみられていた。初出場の2011年夏から17年春までに6度甲子園に出た強豪は3年ぶり、戸丸には初めての聖地となるはずだった。夏まで中止となり、「目の前が真っ暗になった」という。

 それでも、周囲に弱さを見せないよう気を張ってきた。甲子園に行くために全国から集まった仲間をまとめる「健大高崎の主将というプライド」だ。中学からバッテリーを組むエースの下慎之介(3年)にも心の内は明かさず、ただ無心でバットを振り続けた。

 「うそなのかな」と思った交流試合の知らせ。「仲間とやれる最後の試合が甲子園」だと思うと、うれしくて仕方がない。「最後くらい自分を表現してほしい」と青柳博文監督は願う。思いのたけをぶつける、夏になる。(苅谷俊岐、脇西琢己)

無断転載・複製を禁じます
1282028 0 高校野球 2020/06/17 05:00:00 2020/07/20 13:30:49 投球練習を行う明石商の中森俊介(6月15日午後5時19分、兵庫県明石市で)=東直哉撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200617-OYT1I50001-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

一緒に読もう新聞コンクール

新着クーポン

NEW
参考画像
ランチでご来店のお客様にジェラートをサービス
NEW
参考画像
600円300円
NEW
参考画像
アクティビティご利用でソフトドリンク1本サービス
NEW
参考画像
ご宿泊のお客様の夕食時に地酒(お銚子)またはソフトドリンク1本サービス

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ