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「ドコカニイッテ、ハヲミガク!」――。米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平は今シーズンも投打にわたって活躍している。他に類を見ない躍動が詳しく伝えられる一方で、現地放送局の実況で叫ばれるこんな「謎日本語」が、SNSでたびたび話題に上る。日本の野球中継では聞き慣れないこのような言葉たちが、なぜアメリカで叫ばれているのだろうか。大リーグに詳しい大学の先生に話を聞いてみた。(デジタル編集部 古和康行)
「ビッグフライ! オオタニサン!」「スワッテクダサイ!」「ジャア、マタネ!」――。これらの言葉はエンゼルスの試合を中継する米放送局「バリー・スポーツ・ウェスト」の実況席から飛び出した。

「意味不明」だと話題になったのは、昨年5月12日のアストロズ戦の一幕。大谷が内角に投じた鋭い変化球で相手打者を見逃し三振にとると、突然、実況が「ドコカニイッテ、ハヲミガク!」と絶叫した。これは、「Go away! And brush your teeth!」(歯でも磨いてきな!)という「慣用句」で、日本語でいうと「顔を洗って出直せ」に近い言葉を「直訳」したもの。その後、アナウンサーも「グーグル翻訳しました」と“種明かし”していた。同局はツイッターにもこの動画を上げていて、「意味不明で大笑いした」というコメントもついている。
今シーズンも「迷調子」は健在で、4月15日のレンジャーズ戦で、この日2本目の本塁打を放った大谷に「ショウヘイ・オオタニ、スゴーイ!」「ショウヘイ、キュンデス!」などと日本の若者言葉で賛辞を贈った。これもツイッターに動画が投稿されていて、5500以上の「いいね」がついている。「キュンです!」は、日本のアナウンサーがスポーツ誌での対談で現地実況アナウンサーに教えた言葉だという。
こうした日本語実況について、大リーグについての著作もあり、野球文化学会の会長でもある名城大学の鈴村裕輔准教授(比較文化)は「大谷選手の登場から明らかに増えている。大リーグの施策ともマッチした現象です」と分析している。どういうことだろうか。
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