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コロナ禍中のプロ野球、今季開幕予定の6月19日は「野球の誕生日」

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期された2020年シーズンの日本プロ野球開幕は、野球というスポーツの「誕生日」ともいえる6月19日に予定されている。今から174年前、野球の母国アメリカで、初めて試合が行われたのが、くしくもこの日だ。(読売新聞オンライン・込山駿)

1846年6月19日、世界初のプレーボール

アメリカで最初の野球の試合が行われた地・ホーボーケンにある記念碑(佐山和夫さん提供)
アメリカで最初の野球の試合が行われた地・ホーボーケンにある記念碑(佐山和夫さん提供)

 ニュージャージー州ホーボーケンは、ニューヨークのマンハッタンとハドソン川をはさんで西側に位置する。町の一角にある記念碑に、こう刻まれている。

 「1846年6月19日、最初の野球の試合がここエリージアン・フィールズ(クリケット場のある草原)において、ニッカボッカーズとニューヨークスとの間で行われた」

 記念すべき一戦の様子は、野球史に精通するノンフィクション作家・佐山和夫さんが「野球とニューヨーク」(中央公論新社)などの著書に記している。クリケットなどの球技に習熟したメンバーの寄せ集めチームだったニューヨークスが23―1で勝利を収めた。

 ところが、野球史上最初の「球団」と認められているのは、大敗を喫したニッカボッカーズの方だ。佐山さんは「ニッカボッカーズは会費を納めた正会員からなり、会則が定められ、スコアブックも用意し、ニューヨークに本拠を置くスポーツクラブとして地域社会から認知されていた。きちんと組織を整えていることの方が、試合の勝敗よりも当時は重視された」と話す。

9人制、3アウトチェンジ

 このチームの主宰者は、ニューヨークス戦で審判を務めたとされるアレキサンダー・カートライト(1820~1892年)。ニューヨークに生まれ育ち、銀行員をしたり事務用品の店を出したりしながら、自警消防団を結成して活躍した人物だ。カートライトは消防団員の健康増進や結束強化のため、野球の原型とされる「タウンボール」というバットを使ったチーム球技を導入し、1840年代にニッカボッカーズを創設した。さらに、人数も試合進行もまちまちだったタウンボールに明確なルールを定め、本格的なスポーツとして生まれ変わらせることにも取り組んだ。

 1チーム9人、3アウトで攻守交代、4つのベースを等間隔でダイヤモンド形に配置。1845年に書き上げたルールブックには、野球の根幹をなすルールが並ぶ。

 この競技規則が初めて適用された1846年6月19日の試合が、野球史上「最初の試合」と認められている。カートライトが「野球の父」と称されるゆえんだ。ちなみに彼は間もなくゴールドラッシュの波に乗ってアメリカ西海岸に渡り、さらにハワイへ移住して実業家として成功、行く先々で野球の普及に尽くしたと伝えられる。

ハワイにあるカートライトの墓前で記念撮影する大日本東京野球倶楽部(巨人の前身)のアメリカ遠征一行(1935年2月撮影)
ハワイにあるカートライトの墓前で記念撮影する大日本東京野球倶楽部(巨人の前身)のアメリカ遠征一行(1935年2月撮影)

災厄から再出発する移民の間で人気

 1846年6月19日以降、野球人気はニューヨークで急速に高まり、そこから全米へ競技が広まっていく。ニューヨークでは当初、アイルランド系移民が中心となってプレーした。彼らは、ヨーロッパを前年に襲った「ジャガイモ飢饉(ききん)」を逃れてやって来た人々だったという。「当時ニューヨークは移民の玄関口で、人口も急増していた。熱気あふれる大都会に移住して人生を立て直し、生きる喜びを見出そうとする人たちの思いが野球人気に火をつけた」と、佐山さんは解説する。

 災厄を逃れてたどり着いた新天地で野球に熱中した人々の胸中は、コロナ禍からの再起をめざす日本プロ野球界の思いと、通じるものがありそうだ。ただし――。

 日本プロ野球の開幕日を決めた理由を、斉藤惇コミッショナーは「準備期間から、自然と6月中旬になった。金曜日という日から19日が一番いいというのがあった」と12球団代表者会議後の記者会見で説明した。その発言に、174年前にニッカボッカーズが行った試合の日付を意識した様子はない。偶然の一致と言ってしまえばそれまで、かもしれない。

2009年のジャッキー・ロビンソン・デー、背番号42をつけて打席に立つイチロー(マリナーズ)。満塁本塁打を含む2安打を放ったこの日、日米通算安打数で張本勲の記録に並んだ(小西太郎撮影)
2009年のジャッキー・ロビンソン・デー、背番号42をつけて打席に立つイチロー(マリナーズ)。満塁本塁打を含む2安打を放ったこの日、日米通算安打数で張本勲の記録に並んだ(小西太郎撮影)

 本場アメリカの野球ファンにも、6月19日の知名度は決して高くなさそうだ。メジャーリーグには記念日がいくつかあり、アフリカ系アメリカ人選手が最初にプレーした4月15日は「ジャッキー・ロビンソン・デー」として、全選手がロビンソンの背番号「42」をつけたユニホームでプレーする。野球関係以外でも、7月4日の独立記念日などには特別なユニホームを着用している。だが、6月19日に認知度の高い全米規模の恒例イベントは行われていない。

野球の父・カートライトへ思いをはせては?

 とはいえ、日本野球が再出発し、スポーツ界が改めて盛り上がっていく転機とするうえで、やはり「6月19日」は、歴史的にみてふさわしい日取りではないだろうか。無観客で行われる開幕戦を観戦しながら、カートライトの功績や野球草創期に思いをはせるのも、ファンにとっては一興だろう。

 このままコロナ禍の拡大を抑え込み、球音が響く6月19日を迎えられることを願いたいものだ。

6月19日の開幕をめざし、2日に行われた巨人-西武の練習試合で
6月19日の開幕をめざし、2日に行われた巨人-西武の練習試合で

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1262041 0 プロ野球 2020/06/06 07:00:00 2020/06/06 19:03:52 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200605-OYT1I50042-T.jpg?type=thumbnail

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