菅野と千賀が投げ合う初戦がカギ…鹿取義隆さんの日本シリーズ展望

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鹿取義隆さんの第1戦速報解説はこちら

 プロ野球の日本シリーズは21日に開幕し、2年連続で巨人とソフトバンクが対戦します。シリーズの行方を、往年の名投手で読売新聞スポーツアドバイザーの鹿取義隆さんが展望します。短期決戦のカギを握る第1戦では、鹿取さんのリアルタイム解説も、読売新聞オンライン内の別記事でお届けします。

ソフトバンクの千賀(左)と巨人の菅野。両エースの投げ合いが注目される
ソフトバンクの千賀(左)と巨人の菅野。両エースの投げ合いが注目される

エース対決は「3点勝負とみる」

 ――両チームの先発陣から見ていきましょう。巨人は菅野、サンチェス、戸郷、畠、今村あたりでしょうか。ソフトバンクは千賀、和田、ムーア、石川といった陣容とみられます。注目はやはり初戦のエース対決でしょうか。

 「菅野と千賀、正真正銘、日本のエース2人が投げ合う。互いになかなか点は取れないからバントを含めて、細かいプレーがしっかり出来るかどうか。ワンチャンスをものに出来るかどうか。そこが大きなポイントじゃないかな。3点勝負とみるね」

 ――昨年の日本シリーズは、腰痛を抱えていた菅野が4戦目に回りました。今年は期すものがあるのでは。

 「レギュラーシーズン最後の登板のように、ボールが切れていれば、強く振ってくる打者が多いパ・リーグが相手でも、そうは打たれない。今年の菅野はスライダーの曲がる角度が良くなって被本塁打が減少しているのも好材料。シリーズは2戦目が大事だという人もいるが、絶対、先手必勝。エースで勝てばチームの士気も上がる。逆にやられたら、2戦目の投手へのプレッシャーは増すことになる」

連打が難しいモイネロ、巨人はリリーバーに期待

 ――チーム防御率はソフトバンクが12球団トップの2・92。

 「DH制があるパ・リーグでの2点台の防御率はなかなか達成出来ない数字。リリーフ陣も強力だよね。八、九回にはモイネロ、森が控えている。特にモイネロはスピードと角度になかなか対応出来ないかもしれない。連打が難しい投手。クローザーの森よりも八回のモイネロの方が攻めるのは厳しいと思う。ソフトバンクに対しては七回までが勝負。早い回にしかけておかないと厳しくなる」

 ――対する巨人投手陣をどうみていますか。チーム防御率はソフトバンクほどでないにせよ、3・34と安定していました。

 「菅野の存在は大きいけど、やはりリリーバーがカギになるだろうね。シーズン終盤は、やや不安定な時もあった。(脇腹痛で離脱していた)中川が戻ってくると聞いたが、シーズン同様の投球が出来るかどうか。彼が復活すれば、左投手の働きがポイントの一つになる。中村、柳田、周東、栗原ら、相手は左に警戒すべき打者がいる。高梨、中川、大江、田口、さらに高橋が救援に回れば5枚がそろう左腕が役割を果たせば、巨人に流れがくるのではないか」

切れ目ないG打線、配球絞ってくるSB打線

両チームを代表する長距離打者、ソフトバンク・柳田(左)と巨人・岡本
両チームを代表する長距離打者、ソフトバンク・柳田(左)と巨人・岡本

 ――ソフトバンク打線はチーム打率2割4分9厘で総得点が531。一方の巨人は2割5分5厘と打率では上回りますが、総得点は532得点でほぼ同じです。チーム本塁打も巨人の135本に対し、ソフトバンクが126本と大差ありません。

 「クライマックスシリーズ(CS)を見ても、ソフトバンクの中村晃は配球を絞りこんで打つのがうまい。CSのように7番に中村晃、8番に松田が入る打線は嫌だよね。数年前に比べると破壊力は落ちているけど、その分、50盗塁の周東のように足が使える選手もいる」

 「一方の巨人は坂本、岡本、丸の中軸は長打力があり、好機にも強い。柳田、グラシアル、栗原の相手クリーンアップより怖いと思う。吉川尚、松原の1、2番も固定出来ているし、下位には中島、大城が並び、左脚を痛めた亀井が復帰すれば、さらに厚みを増す。打線は巨人の方が切れ目がない」

 ――ソフトバンク打線の中心が柳田なら、巨人は岡本です。昨年は不本意なシリーズでしたが……。

 「過去の交流戦では、内角への速球で体を開かせられた後、外角へのボール球という配球に手を焼いていた。でも今年の岡本はライトへの『軽打』もあれば、左手一本でのホームランもあり、打撃の引き出しが増え、成長著しい。本塁打も全方向に打てるようになってきた。ただ、前後の打者も含めてつながることが大切」

 ――ソフトバンクの警戒する打者は。

 「柳田はもちろんだが、追い込まれるまで球種を絞って打ってくる打者が多い。中村晃もそう。展開によっては変えてくるが、ヤマ張りのバッターに対しては、初球から勝負するつもりでいかないと、ガツンとやられる。簡単にストライクを取りにいかない方がいい」

コロナ禍を勝ち抜いた両チーム

 ――50盗塁の周東の足はやはり、脅威でしょうか。

 「無死で出塁させると、無死二塁になってしまう可能性が高い。三塁へ進めば内野ゴロでもホームに帰ってきてしまう。守る方にもそういった印象がついている。盗塁されたくないから、2番打者への攻めは速球系が多くなってしまう。となると、2番打者はそのボールを狙ってくる。いい傾向にはならないね」

 ――短期決戦では調子の見極めも大切ですね。

 「シリーズのような短期決戦では、打者の好不調は必ず出てくる。中軸は変えなくてもいいかもしれないが、前後は様子を見て変えてもいい。開幕までの調整期間中に状態が上がってくる打者もいる。首脳陣はよく見極めて起用することが求められる」

 ――何勝何敗でしょうか。

 「うーん、難しいね。7戦目までは行って欲しいね。巨人からすれば、初戦を菅野で勝てるかどうか。相手も千賀で来るから。千賀をたたくと流れが巨人にくる。短期決戦は基本中の基本が大事になる。ミスをしない。フォアボールを出さない。そこに尽きる。トータルで見ると、複数のポジションを守れる選手がいたり、控えの層が厚かったり、似たようなチームカラーとも言える。コロナ禍で行われたシーズンで勝ち残ったチームの特徴と言えるかもしれない」

 (構成・編集委員 太田朋男)

プロフィル

鹿取さん
鹿取さん

鹿取義隆(かとり・よしたか)1957年、高知県出身。高知商-明治大から79年に巨人へ入団。右サイドスローからキレのいいストレートと変化球を繰り出す救援投手として、80年代のジャイアンツで大活躍した。90年に移籍した西武でもリリーフ陣の柱となり、パ・リーグを5連覇したライオンズの黄金期を支えた。90年に最優秀救援投手のタイトルを獲得。プロ19年間で755試合に登板し、91勝46敗131セーブ、防御率2・76。97年に現役を引退後は、巨人のコーチ、ゼネラルマネジャー(GM)、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝した日本代表のコーチなどを歴任。現在は読売新聞のスポーツアドバイザーを務める。

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1643702 0 プロ野球 2020/11/21 15:00:00 2020/11/21 18:17:42 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201120-OYT1I50078-T.jpg?type=thumbnail

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