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[選手たちの10年 東日本大震災]<5>東北に再び日本一を…田中「喜び分かち合いたい」

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 田中将大(32)はこのオフ、迷い続けた。米大リーグ・ヤンキースからフリーエージェントとなったが、再契約の道は早い段階で立ち消え、米球界の他球団からは好条件のオファーも届いていた。

震災10年の節目に楽天に復帰した田中将
震災10年の節目に楽天に復帰した田中将

 日米球界注目の去就は年をまたぎ、いくつもの選択肢が取りざたされる中、田中将が選んだのは古巣の楽天への、8年ぶりの復帰だった。「日本の方々の前で投げることを上回るものは、最後までなかった」

 1月30日に都内で行われた記者会見。田中将は巡り合わせに思いをはせた。「東日本大震災から10年という年に初めて、チームを選べる立場になった。10年という数字は、自分にとって何か意味のあるタイミングなんじゃないかなと思った」

 地震が起きた2011年3月11日午後2時46分、仙台に本拠地を置く楽天は兵庫県内でロッテとのオープン戦の最中だった。試合は八回で打ち切りとなり、宿舎へ戻るバスの中で、津波にのみ込まれる各地の様子がテレビに映し出された。

 岩手県普代村出身で、今年で楽天一筋16年目になる銀次(33)はその光景が信じられなかったという。「言葉にならないとはまさにこういうことなんだ」。約1か月後、仙台に戻り、がれきだらけの沿岸部を目の当たりにして改めて被害の大きさを実感した。

 楽天の選手らはその後すぐ、避難所を訪問した。「今、野球を本当にやっていていいのか」。多くの選手が同じ思いを抱いたが、子供たちとキャッチボールなどで交流し、「逆に僕たちが元気をもらった気持ちになった」と田中将。被災地に勇気を与えるプレーを見せたい――。ペナントレースの戦いに、新たな意義が加わった。

 2年後の13年、思いは結実。球団創設から長く続いた低迷を抜け出してリーグ初制覇を果たし、日本シリーズでも4勝3敗で巨人を破って球団初の日本一に輝いた。田中将はレギュラーシーズンで開幕から無傷の24連勝という圧倒的な成績を残し、「死ぬ気で野球をやってみんなを喜ばせたい」と戦い続けた銀次も打率3割1分7厘をマークし、チームを引っ張り続けた。

 今季、復帰した田中将を含めて、震災当時に在籍していた現役選手は4人だけになった。津波被害を受けた沿岸部をオフに訪問している銀次は「自分が中心となって伝えていきたい」と誓い、田中将も「(被災地の)身近にいることでできることも増えるだろうし、考えていることもある」。再び日本一を目指す原動力として期待がかかる中、「またみんなで喜びを分かち合いたい」との思いを強くしている。

慰霊碑に献花する楽天の早川(手前)=球団提供
慰霊碑に献花する楽天の早川(手前)=球団提供

 今年1月、楽天の新人選手たちは宮城県名取市の閖上ゆりあげ地区を訪問。市震災復興伝承館で被災状況や復興の歩みを学び、慰霊碑に献花した。

 「心を締め付けられるようだった。自分たちが東北に元気を与えることを誓った」。ドラフト1位の早川隆久(22)(早大)は、そう語った。

 自身も被災者だ。千葉県横芝光町出身で、当時は小学6年生。東日本の沿岸部を広範囲に襲った津波で被害を受け、避難所になった小学校で一夜を明かした。家族は無事だったものの、自宅は床上浸水し、農機具も水没。「悲惨な光景だった」と振り返る。

 13年に楽天が日本一に輝いた試合をテレビで観戦し、感動。震災10年という節目の楽天入りを、「自分に与えられた使命」だと自覚している。復興への思いは、次の世代へと引き継がれていく。(百瀬翔一郎、おわり)

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1901845 0 プロ野球 2021/03/11 05:00:00 2021/03/11 14:15:16 中日ー楽天 4回に続き、5回も無安打に抑えた田中将(6日、バンテリンドームナゴヤで)=青木久雄撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210310-OYT1I50064-T.jpg?type=thumbnail

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