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佐藤 世界2冠評価…第4回日本パラスポーツ賞

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 第4回日本パラスポーツ賞(読売新聞社制定)の大賞に選ばれた陸上の佐藤は、11月の世界選手権で2大会連続2冠を達成した成績に加え、競技の普及に貢献したことが高く評価された。優秀賞は若手3人。知的障害者水泳の山口は世界新をマークし、スキーの川除は強豪が集う立位部門を制したことなどが認められた。聴覚障害者テニスの世界選手権で日本女子初の栄冠に輝いた喜多は、競技の知名度向上への貢献も受賞理由となった。新人賞のバドミントンの里見には、新競技となる東京パラリンピックへの期待も込められた。表彰式は来年1月17日、第69回日本スポーツ賞(同)の表彰式と合わせて行われる。

 日本パラスポーツ賞は、昨年12月から今年11月までの成績を対象に受賞者を決定した。6日の選考委員会では藤田委員を座長に選び、各委員が各賞の候補を推薦した。

 大賞は山口の名前も挙がったが、世界選手権2冠の佐藤への支持が大勢を占めた。「期待されて臨んだ中で取った金。価値は高い」(増田委員)、「誰もが認める第一人者」(山脇委員)との声に加え、競技普及への貢献度も加味され、大賞に決まった。

 優秀賞には世界選手権を制した気鋭の3人を選んだ。世界新で優勝した山口と強豪を破っての栄冠となった川除は、高い競技力が評価された。喜多については、「パラが盛り上がる中、デフ(聴覚障害)スポーツに目を向けることも大事」(鳥原委員)との見方もあった。新人賞の里見に関しては、「パラバドミントンは子供にもなじみがある中、花のある選手」(大日方委員)との声も上がり、満場一致での選出だった。

 奨励金は大賞の佐藤に200万円、日本パラ陸上競技連盟に300万円、優秀賞の山口、川除、喜多に各100万円、日本知的障害者水泳連盟、日本障害者スキー連盟、日本ろう者テニス協会に各200万円、新人賞の里見には50万円が贈られる。

 

■大賞 陸上…佐藤友祈 30(WORLD―AC)

■優秀賞 知的障害者水泳…山口尚秀 19(瀬戸内温泉スイミング)

■優秀賞 スキー…川除大輝 18(日大)

■優秀賞 聴覚障害者テニス…喜多美結 21(関西大)

■新人賞 バドミントン…里見紗李奈 21(NTT都市開発)

 

重圧 力に変えて…東京「追随許さない」

障害者陸上・ジャパンパラ競技大会。男子400メートルで優勝した佐藤
障害者陸上・ジャパンパラ競技大会。男子400メートルで優勝した佐藤
大賞受賞を喜ぶ佐藤
大賞受賞を喜ぶ佐藤

 大賞を受賞した佐藤にとっては、王者としての真価を示した今年の戦いぶりだった。来年の東京パラリンピックでの活躍を期し、「2年連続で大賞を狙いますよ」と、自信に満ちた笑みを浮かべた。

 最大の目標にしてきたのが、今年11月にドバイで行われた世界選手権だ。前回の2017年ロンドン大会に続き、男子1500メートル(車いすT52)と400メートル(同)で2冠を達成。2種目とも18年夏に世界新記録をマークし、周囲から優勝が確実視された大会での活躍を「自分が重圧を感じていることを受け入れて、勝てたことはすごく大きい」と振り返る。

 世界記録保持者となって迎えた今年は「誰かより早くゴールすればいいのではなく、自分の記録との戦いになった。難しい一年だった」。ほかの選手と比較するのではなく、課題を自身の中に求めるようになった。

 精神面を安定させるため、レース前のウォーミングアップでは、常に同じ時間をかけるようにして、ルーチンの定着を目指すなど試行錯誤しながら、重圧の中で結果を残し続けた。

 来年も東京パラリンピックの顔とも言える活躍が期待され、「緊張すると思う」。そう、つぶやいた後に「でも、注目されないと張り合いがない。他の追随を許さない勝ち方をする。世界新記録で金メダルを取る」と言い切った。 (大舘司)

 

世界新V 競泳内定1号…山口「金メダルとりたい」

11月の日本選手権の男子100メートル平泳ぎを制した山口
11月の日本選手権の男子100メートル平泳ぎを制した山口
優秀賞受賞の喜びを語る山口
優秀賞受賞の喜びを語る山口

 優秀賞を受賞した山口は、地元の愛媛県今治市で「東京2020に向けての原動力になるので、こういった賞をもらえることをとてもうれしく思っています」と笑顔を見せた。

 飛躍の1年だった。2月に初めて国際大会に出場。9月にはロンドンで行われたパラ競泳の世界選手権の男子100メートル平泳ぎ(知的障害)で、1分4秒95の世界新記録で優勝し、競泳では東京パラリンピックの代表内定第1号となった。

 3歳のとき、知的障害を伴う自閉症と診断された。小学4年で水泳を始め、競技として本格的に取り組んだのは2017年1月から。19歳の新鋭は、身長1メートル87、体重85キロの体格を生かした力強い泳ぎが魅力だ。

 12月からは四国ガスで事務の仕事をしながら、練習に励む。「東京では金メダルを取りたいし、世界記録を更新したい」。夢は膨らむばかりだ。 (帯津智昭)

 

優勝2回 躍進の18歳…川除「今季は総合優勝を」

障害者スキーのノルディック・ワールドカップ札幌大会で優勝した川除
障害者スキーのノルディック・ワールドカップ札幌大会で優勝した川除

 ワールドカップ(W杯)に向けてフィンランドで合宿中の川除は、「このような賞に選ばれるのは初めて。頑張ってきて良かった」と受賞を喜んだ。

 平昌パラリンピックでは表彰台に届かなかったが、今年2月にカナダで行われた世界選手権の20キロクラシカルで、金メダルを獲得。3月のW杯札幌大会でも10キロフリーで優勝し、5キロクラシカルでは、バンクーバー、平昌大会金メダリストの新田佳浩を上回る3位に入るなど躍進を果たした。

 生まれつき両手足の指の一部がないが、障害者と健常者の大会を掛け持ちして力をつけてきた。今春、日大に進学。「速い選手と一緒に練習し、競い合うことで競技力は上がると思っている。夏場でも毎月合宿があるなど練習も積めている」と話す。「今季はW杯で継続して表彰台に上がり、総合優勝を取りたい」。成長著しい18歳は、さらなる飛躍を誓う。 (矢萩雅人)

 

里見 満場一致の新人賞…世界選手権制覇

新人賞を受賞し喜ぶ里見
新人賞を受賞し喜ぶ里見

 新人賞の里見は「結果を残せて良かった。私が賞をとったことで、パラバドミントンが広まってくれれば」と喜びをかみしめた。

 2016年に交通事故で車いすの生活に。翌年に競技を始め、わずか2年余りの今年8月、世界選手権女子シングルス制覇の快挙を達成した。パラで初めて実施される東京大会では、シングルスとともにダブルスでも優勝候補となっている。

 事故の後、引きこもり気味だった自分を変えようと、父が勧めてくれたパラバドミントン。今では「1日1回はシャトルを触っていたい」と言うほどのめり込んでいる。豊富な練習量と課題を一つずつ克服する情熱で自信と実力をつけた。最初は「これからのスタートだから、東京パラは遠い」と感じていたが、今ははっきりと大舞台をイメージできる。「金をとってもおかしくないところに自分はいる。いい色のメダルが欲しい」 (畔川吉永)

 

女子シングルス初の「金」…喜多「音を感じる」

受賞を喜ぶ喜多
受賞を喜ぶ喜多

 10月の世界デフテニス選手権(トルコ・アンタルヤ)女子シングルスで日本女子史上初の金メダルを獲得した喜多は、「やってきたことが形になった。びっくりしたけど、注目されてうれしい」と受賞を喜んだ。

 テニス経験のある両親の影響で、小学4年でテニスを始めた。両耳が聞こえづらくなってきたのも同じ頃で、中学3年で補聴器を手放せなくなった。

 大学入学直前の昨年3月、聴覚障害者テニスの存在を知った。補聴器を外してのプレーに最初は戸惑ったが、「今は音を感じて合わせられるようになった」。最後まであきらめずボールを追うフットワークの良さが持ち味だ。

 2021年に開催される聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」での優勝を目標に掲げる。理由は、「活躍すれば、聴覚障害のことを多くの人に知ってもらえるから」。テニスを通じ、障害への理解が深まることを願っている。 (脇西琢己)

 

 ◆日本パラスポーツ賞とは 健常者スポーツ界の最高賞「日本スポーツ賞」と同様に、日本のトップアスリートの中から優れた成績を残した選手、団体を表彰し、障害者スポーツへの理解を深め、普及、振興を図ることを目的に2016年に制定された。公益財団法人日本障がい者スポーツ協会の登録団体、日本パラリンピック委員会の加盟団体から推薦された選手、団体などを対象に各賞を贈る。

 

21競技団体の 推薦選手・団体

■日本身体障害者アーチェリー連盟 岡崎愛子(同連盟)※

■日本パラ陸上競技連盟 佐藤友祈(WORLD―AC) 兎沢朋美(日体大)※

■日本障がい者バドミントン連盟 里見紗李奈(NTT都市開発)※

■日本ボッチャ協会 日本団体BC3

■日本CPサッカー協会 エスペランサ

■日本パラ・パワーリフティング連盟 中辻克仁(日鉄環境プラントソリューションズ) 森崎可林(立命館守山高)※

■日本身体障がい者水泳連盟 木村敬一(東京ガス) 辻内彩野(三菱商事)※

■全日本テコンドー協会 工藤俊介(ダイテックス)

■日本トライアスロン連合 宇田秀生(NTT東日本・NTT西日本) 米岡聡(三井住友海上火災保険)※

■日本車いすラグビー連盟 アジア・オセアニア選手権日本代表チーム

■日本障害者スキー連盟 川除大輝(日大) 田渕伸司(兵庫県立出石高)※

■日本デフバドミントン協会 鎌田真衣(福岡高等聴覚特別支援学校) ※新人賞も

■日本ろう者テニス協会 喜多美結(関西大) 菰方里菜(四日市商高)※

■日本FIDバスケットボール連盟 日本女子代表チーム

■日本知的障害者水泳連盟 山口尚秀(瀬戸内温泉スイミング) ※新人賞も

■日本知的障がい者卓球連盟 浅野俊(瓊浦高)※

■日本身体障害者野球連盟 岡山桃太郎

■日本聴覚障がい者ラグビー連盟 クワイエット・タイフーン

■日本スポーツウエルネス吹矢協会 福井とし子(三重県協会カワセミ津支部)

■日本車椅子ソフトボール協会 日本代表チーム

■全国アダプテッドエアロビック協議会 竹内真利奈(ABM)

 (※は新人賞)

 

 ◇日本パラスポーツ賞選考委員

 大日方邦子(日本パラリンピアンズ協会副会長)河合純一(日本パラリンピアンズ協会会長)田中暢子(桐蔭横浜大教授)鳥原光憲(日本障がい者スポーツ協会会長)藤田紀昭(日本福祉大教授)増田明美(スポーツジャーナリスト)山脇康(日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会委員長)=以上敬称略、50音順 ▽読売新聞社 山口寿一(グループ本社代表取締役社長)福士千恵子(東京本社取締役事業局長)

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937215 0 ニュース 2019/12/07 05:00:00 2020/01/14 11:49:23 障害者陸上・ジャパンパラ競技大会。男子400メートル(車いすT52)で優勝した佐藤友祈。岐阜市の岐阜長良川競技場で。2019年7月20日撮影。 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191206-OYT1I50061-T.jpg?type=thumbnail

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