まだまだ「宝」はある 橘田健人、橋本拳人、稲垣祥…W杯で新戦力のサプライズ招集はあるか
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「マキ」――。2006年5月、東京都内で行われた日本サッカー協会の記者会見。日本代表、ジーコ監督(当時)が23人目の名を読み上げると、会場はどよめいた。ワールドカップ(W杯)ドイツ大会のメンバーに、前評判は決して高くなかったFW巻誠一郎(当時千葉)が選ばれたのだった。

日本がW杯初出場を果たした1998年フランス大会は、直前で三浦知良(カズ)らが落選。2014年ブラジル大会では、代表から久しく離れていた大久保嘉人(当時川崎)が入っている。W杯のメンバー発表には多かれ少なかれ、「サプライズ」がつきものだ。
海外でプレーする選手が増え、前回ロシア大会は登録23人のうち15人を占めた。6月に控える国際親善試合に向けたメンバーも、28人のうち実に22人が欧州組だ。国内組にとっては狭き門だが、選ばれれば、それは国内での活躍が認められたということ。Jリーグの活性化にもつながり、「滑り込み」が果たす役割は決して小さくない。

「そういった舞台に立てるチャンスが少しでもあるなら、目指すべきだと思う」。J1川崎のMF
日本代表の「カンテ」は田中碧と同学年
年代別の代表歴はない。1メートル69、68キロと小柄だが、昨季途中からスタメンに定着し、今季は3連覇を狙うチームの中盤を担う存在として君臨する。「1対1(デュエル)」に強い遠藤航(シュツットガルト)とはタイプがやや異なり、様々な場面に顔を出す豊富な運動量とボール奪取能力が魅力。今季のJ1で、リーグ3位の1試合平均インターセプト「0・9」を誇る(5月24日現在)。似たような背丈から、18年ロシア大会でフランスを優勝に導いたカンテ(チェルシー)に例えられることもある。
田中碧(デュッセルドルフ)とは同学年で、プロ入り後は川崎のチームメートとして過ごした。今や日本代表の中盤に欠かせない存在となった田中にまだまだ及ばないと感じているといい、「今は試合に出続けて、チームを勝たせられるような選手、Jリーグを代表するような選手になりたい」とさらなる成長を誓う。
「発見、発掘のチャンスは常にある。選手にもそう思ってもらえるとうれしい」。森保一監督ら首脳陣はJリーグを頻繁に視察し、新戦力の台頭を促している。
カタール大会アジア2次予選に名を連ねたMF橋本拳人(神戸)やMF稲垣祥(名古屋)ら、国内にもW杯を視界に捉える選手は少なくない。招集されていない海外組にもチャンスは残されている。泣いても笑っても、あと半年。サプライズはあるか――。(平沢祐)
連載「日本代表サバイバル」
W杯開幕まで、半年を切った。カタールへ行くために、そして世界の強豪と戦う舞台に立つために。「サムライブルー」を目指す戦いも、熱を帯びていく。