貫いた「やせ我慢」、落ちたら引退決めていた…豪栄道の引退記者会見全文

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引退記者会見後、花束を贈られる豪栄道(29日)=園田寛志郎撮影
引退記者会見後、花束を贈られる豪栄道(29日)=園田寛志郎撮影

 29日に行われた大相撲・元大関豪栄道の引退記者会見の内容は以下の通り。

 

 師匠の境川親方(元小結両国)「12日目に負け越して、千秋楽まで取るのかといろいろ聞かれましたが、晩に(豪栄道と)話してある程度腹は決まっていた。引退を口にすると、対戦相手、いろんな人に失礼になると思って、千秋楽までめいっぱい相撲を取りました。ありがとうございました」

 豪栄道(以下同)「私、豪栄道は現役を引退することとなりました。年寄武隈として後進の育成に尽力する所存であります。これまで私を支えていただいた多くの皆様方に、この場をお借りしてお礼の挨拶をさせていただきます。どうもありがとうございました」

――引退を決めて、今の心境は。

 「自分の中ではやりきった気持ちがあるので、今は満足しています」

――引退を決意した要因は。

 「数年前から、大関から落ちたら引退しようと心に決めてやっていましたので、今場所で大関から落ちることが決まって、来場所相撲を取る気力がなくなったというのが一番です」

――迷い、葛藤はあったか。

 「自分自身は迷いはなかった。いろんな方たちから説得されたが、そこはもう自分の自分勝手なわがままで引退とさせてもらった」

――来場所は(ご当地の)大阪場所だが。

 「楽しみに待っていてくれる大阪の人たちには申し訳ないんですけど、気力のない相撲を皆さんの前で取るわけにはいかないと思います」

――足首の状態はどうだったのか。

 「土俵に立つということは、自分は最高の状態と思ってやっているので、言い訳はないです」

――負け越し後、すばらしい相撲もあった。

 「今まで支えていただいた師匠をはじめいろんな人たちのために、残り三日、一生懸命頑張ろうと思ってその気持ちでやりました」

――丸15年、振り返ってどんな相撲人生だったか。

 「いろんな縁があって境川部屋に入って、境川親方の下で相撲が取れて本当によかったです」

――稽古が厳しい境川部屋で、どんなことを学んだか。

 「師匠が義理と人情を大事にする方なんで、そういうところを一番学びました」

――多くのけがを乗り越えて大関に昇進し、全勝優勝も飾った。けがとの戦いを振り返って。

 「けがというものはつきものなんで、あんまりつらいとか苦しいとか、自分では思わないようにやってきました」

――一番、思い出に残っていることは。

 「やっぱり優勝した場所(2016年秋)が、一番印象に残っています」

――あのときはカド番。どんな気持ちで15日間の土俵を務めたか。

 「一生懸命やれば結果が出ると信じてやりました」

――特に「この相撲」というのは?

「優勝を決めた相撲です(14日目)。(相手は玉鷲関?)はい。それまで大関に上がってから情けない成績でね。いろんな人に、師匠をはじめいろんな人に、いい思いをさせてあげられなかった。優勝したことで、皆さんがすごく自分のことのように喜んでくれた。それが一番良かったです」

――同期の豊響、同学年の妙義龍、そして佐田の海の存在について。

 「本当に彼らがいたから僕がある。感謝してもしきれないです」

――師匠にはどんな思いを持っているか。

 「境川部屋に入ってなかったら、もっとうぬぼれた人間になっていたと思う。自分を正してくれて本当に感謝です」

――貫いてきた信念は?

 「やせ我慢というのが心の中にあって、つらいときや苦しいときに、人にそういうところを見せないようにやってきました」

――境川親方へ。師匠にとっても手塩にかけた大関だった。今の心境は。

 境川(以下同)「18歳から15年間寝食を共にしながら、頑張ってる姿も、けがして苦しんでいる姿もずっと見てきた。ほっとしたということもないわけじゃないが、本人も言っていたやせ我慢の美学を大事にしてきた男だなと思う」

――たくさんのけががあった。

 「苦しいのはこっちも一緒。それでも弱音を吐かない。男のど根性を誰よりも持っていた男です」

――大関昇進と全勝優勝にはどんな思いがあったか。

 「いろんな人の期待からすると、優勝の回数が少ないとか、いろんな意見はあると思うんですけど、そのすべてが(16年秋の)15戦全勝優勝に含まれていたんじゃないかと思うんですよね」

――あのとき、師匠は福岡担当で不在だった。

 「心ここにあらずでも九州の仕事を全うするのが協会の仕事。つらかったですね」

――改めて豪栄道とはどんな力士だったか。

 「私も顔のことはいえないけど、日頃は愛想もいいわけじゃないし、しゃれた言葉をいう男でもない。腹は純粋ないい男。時ににこっとするところとか。私は、豪栄道が頑張っている姿もほかの若い力士の勉強になったと思いますが、時折見せるあの笑顔はなかなかいいんじゃないかなと思っていました」

――これから親方としてどんな指導を期待するか。

 「相撲の技術としてはこれ以上はないと思っている。ただ、やっぱり若い子たちのレベルに応じて目線を下げてね。今までも指導はしてきましたけど、背中で教えるタイプだったと思うんですよ。これからは、未経験の子とか、様々なレベルの上下がありますから、目線に合わせて手取り足取りの指導をしてもらいたいと思います。本人の技術論を述べたところで、いきなりみんなが理解はできないと思う。そこのところは、自分が小学校から始めた相撲、原点に立ち返って基本的なところを後輩たちに教えてほしい」

――再び、豪栄道関へ。指導者としての目標は。

 豪栄道(以下同)「自分は横綱に上がれなかったので、横綱を育ててみたいです」

――大関昇進の口上は「大和魂」。貫き通せたか。

 「はい。自分の中ではやり通したと思います」

――大関として5年半、万全なときは少なかった。下に落ちて、いまそれでも幕の内で取っている力士もいる。万全で大阪(に臨もう)と思わなかったのはなぜか。

 「一番はやっぱり気力が尽きたというのが理由で。あと、落ちてからやるつもりは元々なくて、やっぱり自分で決めたことなので、そこで続けることによってこの先の人生でまたこんなことがあったときに、自分に甘えが出る。自分で一つ決めたこともやり遂げられないのかと。それが大きな理由です」

――12日目の夜、師弟で話をしたという。翌日はすばらしい相撲だった。

 「師匠から、周りのみんなのために残り三日は頑張れと言われたので、本当にその気持ちで、今までの相撲人生の集大成だと思ってやりました」

――大和魂というものを、今はどう感じているか。

 「やはり我慢強く、潔くというのが大和魂の本当の意味なので、そういうことですかね」

――若い大関、そして大関を目指す後進に看板の重みをどう伝えたいか。

 「プレッシャーとかたくさんあると思うけど、それ以上にすごくやりがいのある地位だと思う。その辺は伝えていきたいですね」

――引退を決めて、師匠からねぎらいはあったのか。

 「これから親方になるので、覚悟して頑張れ、と言われました」

 境川「決めたときは、まだ(場所が残り)三日あった。引退を口に出して土俵に上がるわけにはいかない。ご苦労様、も言ってない。いろいろ苦しんだこの体、ゆっくり静養してもらいたい気持ちがある」

 豪栄道(以下同)「師匠の男っぷりの良さとか、男としての所作とか、そばでいろいろを学んでいきたいと思います」

――悔いは残っていないか。

 「ないです。僕の中では、納得がいかなくて複雑な人もいるんじゃないかと思ったけど、ねぎらってくれて、ありがたいメッセージももらった」

――(出身校)埼玉栄高の山田先生とは話した?

「先生も大阪でやってからでも、と言っていたけど。自分を追い込んでやってきたからここまでできた。その気持ちがなければ、何年か前に引退していたかもしれない」

――同学年は強い力士が多かった。

「力のある力士が多かった。本当にいい刺激になった」

――負け越しの後、支度部屋でも今までの総括のような言葉が多かったが。

「嘘をつくのが苦手なんです」

――最後の一番。阿武咲に投げられた。あのとき感じたことは?

「絶好の体勢で、あんな投げられ方はされたことがなかった。あれで完璧に終わったなと思いました」

――ライバルたちへメッセージは。

「徳勝龍も優勝したし、栃煌山にも可能性がある。同級生で頑張ってきた妙義龍も優勝を目指してほしいです」

――これからやりたいことは。

「いろんなところへ旅してみたい。世界中、はできなくても、いろいろ見てみたい。肉食はやめない。今さら野菜を食べても体が受け付けないと思うんですよね」

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1026284 0 大相撲 2020/01/29 18:15:00 2020/01/29 18:15:00 2020/01/29 18:15:00 引退記者会見後、花束を贈られる、笑顔を見せる豪栄道関(29日午後0時5分、両国国技館で)=園田寛志郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200129-OYT1I50089-T.jpg?type=thumbnail

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