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フィギュアスケート女子の樋口

――今季はトリプルアクセルを積極的に実戦投入した。
試合でトライしてどんどん自信をつけるイメージでした。来季に安定させるために、とにかく早く慣れて感覚をつかむことが必要でした。新型コロナの自粛期間で滑れなかった時に始めた新しい筋力トレーニングの効果をすごく感じて、昨年7月くらいには形になりつつあったのが大きかったです。
――トリプルアクセルの手応えはつかめたか。
軽く跳び上がって、自然に回れるようになりました。不安定な時から安定するまでの周期が短くなって、結構跳べるなっていう感覚が出てきたと思います。
――ただ、今季は全日本選手権で7位など、結果はついて来なかった。
全然内容が良くない悔しいシーズンでした。でも、今季(の苦戦)は想定内。まだ全然こんなもんじゃないと感じた試合がいくつもありました。練習がメインになって、試合の感覚が少なくなってしまったかなとも思います。
――同学年の坂本花織選手(シスメックス)は今季、大技はないものの、安定感のある演技が光った。
来季のために安定させるのも良いことだと思います。かおちゃん(坂本)を見ていると、めちゃくちゃ練習したんだなというのが伝わってきます。(2010年バンクーバー五輪金メダルの)金妍児(キム・ヨナ)さん(韓国)みたいにトリプルアクセルや4回転を跳ばなくても、安定感でGOE(出来栄え点)を取りまくって勝つのも、本当に一つの作戦です。
――一方、紀平梨花選手(トヨタ自動車)は全日本で4回転サルコーを決めた。
4回転を跳んでいる選手がいる中で(北京五輪の)出場枠を争わないといけない。やっぱり、高い点数を取れるジャンプを跳んで、なおかつ安定させることが来季は必要。そのために、今季はトリプルアクセルに挑戦して感覚をつかみたかったんです。
――高難度の構成と安定感の両立がテーマだと。
(平昌五輪直後に行われ、銀メダルを獲得した)18年の世界選手権の時は、何が何でもやってやる気持ちがあった。今季の気持ちとは違いますが、まだまだ、そこまで持って行ける感覚があります。今季はトリプルアクセルに集中して、結果が残せませんでした。当時のフリーの映像は、お風呂とかで結構見ていて、「これで明日(の試合)いけるわ!」と思ったり。演技の後(に号泣しているシーン)は絶対に見ません(笑)。
――4回転を跳ぶロシア勢をどう見ているか。
4回転がトレンドみたいになっていて、レベルがやばいなと思います(笑)。私はまだトリプルアクセルで止まっているので、(ロシア勢は)すごいなと思いつつ、別次元と考えて、自分ができることを増やすことに集中したいです。
――4回転に挑戦したい気持ちは。
けがをしたくないので、(来季の)試合ではないかもしれない。4回転は、私の中ではルッツが一番回りやすいかな。(体を)反対側に振り回してから跳ぶので、勢いがつきやすい。練習はするかもしれません。
――3年生になった明大商学部での学生生活は。
単位は、ギリギリ大丈夫だと思います(笑)。オンライン授業を見て、レポートの課題がめっちゃあるんですけど、途中から何を言いたいのかわからなくなって、最終的に全部スケートの話につなげて書く、みたいな。単位が心配になって先生にメールで質問すると、「競技の方も大変でしょうから、頑張ってください」と返してくれる先生もいて、「よし、OK、OK!」と勝手に思っています(笑)。
――来季のプログラムは。
2年ぶりに変えます。振り付けは、ショートプログラムがジェフリー・バトルさん、フリーがシェイリン・ボーンさんの予定です。リモートで振り付けてもらって、トリプルアクセルは、SPもフリーも、冒頭に入れる予定。フリーでは余裕があれば、2本目を入れたいです。
――北京五輪シーズンとなる来季はどう臨むか。
絶対に五輪に行きたいです。自分がどこまではい上がって行けるか、すごく楽しみです。どれだけ自信を持って滑れるようになるか(が勝負)です。