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    ジュニア記者が、様々なニュースを取材して記事を掲載します。

    全国高校文芸コンクール 書くことへの熱意伝わる

     「第33回全国高等学校文芸ぶんげいコンクール」(全国高等学校文化連盟れんめい、読売新聞社主催しゅさい)の表彰式ひょうしょうしきが15日、東京都渋谷区しぶやくの国立オリンピック記念きねん青少年総合そうごうセンターで開かれ、つづいて作家の奥泉光おくいずみひかるさんによる記念講演会と部門べつ講評会こうひょうかいが行われました。高校文芸最大規模さいだいきぼのコンクールの上位入賞者じょういにゅうしょうしゃが集まる場を取材しゅざいしました。

    表彰と講評

     小説しょうせつ文芸評論ぶんげいひょうろん随筆ずいひつ、詩、短歌、俳句はいく、文芸部誌ぶしの7部門がある文芸コンクールに、今回は全国から3万点をえる応募おうぼがありました。表彰式では上位入賞者に表彰状などがおくられました。また、審査員しんさいんの先生方が講師こうしとなって部門ごとに行われた講評会では、入賞した高校生らが参加さんかし、意見を交換こうかんしたり、アドバイスを受けたりしました。

    小説部門

     小説部門では、審査員の講評を聞いた後、セリフの役割やくわりや題名のけ方、情景描写じょうけいびょうしゃ人称にんしょうなど小説そのものにかかわることや、部内での批評会ひひょうかいなどの活動について、みなで話し合いました。「重い課題かだいにぶつかることで、さら柔軟じゅうなんな発想が生まれる」といった審査員の言葉に真剣しんけんに耳をかたむける姿すがたから、参加者の創作そうさくへの熱意がつたわってきました。

    詩部門

     印象的いんしょうてきだったのが、詩部門の審査員の「無意識むいしき優等生ゆうとうせいのような詩を書いて、自分の内面的ないめんてきなものをおさまないように」というアドバイス。詩を書くことの奥深おくぶかさを感じました。短歌部門では、参加者が自分以外いがいの人の作品を細かく分析ぶんせきしていました。「講評会に参加して、鑑賞力かんしょうりょくの向上が課題だと感じた」と話す人が多く、参加者の研究熱心さにおどろきました。

    俳句部門

     俳句部門で行われた句会には、ジュニア記者もくわわりました。1人1句んだ後、名前をせて書き出された句を見て気に入った句に挙手きょしゅします。記者は「子は何処いずこ一人たたずれ木かな」という句を出しました。最高点を取ったのは、同部門で最優秀賞さいゆうしゅうしょう・読売新聞社賞を受賞した岩手県立水沢みずさわ高2年の菅原すがわらわかばさんの「早朝や足首に冬からみおり」という句でした。参加者の出身地によって、雪にかんする句に対する解釈かいしゃくことなることも興味深きょうみぶかかったです。

    文芸部誌部門

     それぞれが自校の文芸部誌を持ちった文芸部誌部門。いくつかのはんに分かれて、装丁そうてい内容ないようについて意見を交わしました。各班からは「持ちやすい文庫サイズにしてはどうか」「地域性ちいきせいむ作品をせたい」といったアイデアが出されました。参加者は「他校の部誌作りや新たな発想を知ることができた」と満足まんぞくそうでした。

    記念講演 「読む行為を大切にして」

    • 「小説は多種多様な物語がせめぎ合う場」と話す奥泉さん
      「小説は多種多様な物語がせめぎ合う場」と話す奥泉さん

    作家 奥泉光さん

     作家の奥泉光さんによる講演のテーマは「異質いしつなものとの出会い」。まずはじめに、小説は「知っていることを『書く』ことより、自分が知らないものと出会う『読む』ことの方がはるかにむずかしく、創造的そうぞうてき行為こうい」という意見に目を開かされました。そして、これから小説を書いていく高校生には、ぜひ「読むことを大切にしてほしい」と話していました。

     ハッとさせられたのは、「小説の本質は物語ではなく、文そのものだ」という部分です。そして「人をかせるのは、単純化たんじゅんかされた物語のパターン。物語の力は時に非常ひじょう危険きけんで、戦争せんそうの時にも使われる。しかし、物語のパターンにはめて号泣ごうきゅうさせるのは小説じゃない」と奧泉さんは言い切ります。

     ジャズという共通の趣味しゅみで引かれ合った女性と次第にすれちがっていった学生時代の恋愛経験れんあいけいけんを語ってわらいをさそいつつ、今回のテーマ「異質なもの」について話した奥泉さん。恋愛と同様、この社会は、本来ことなる人間同士どうしともらしています。だからこそ、「一人ひとりが異質なもの同士としてむすび合う世界こそ自由でゆたかな世界」であり、「小説はその立場に立つもので、『みんな同じ』という単純な物語を批評ひひょうするもの」という言葉に、深くうなずきました。

    (高2・木下純一きのしたじゅんいち筒井菜々歩つついななほ西沢桃佳にしざわももか、マッキン愛奈あいな、高1・山口万由子やまぐちまゆこ記者)

    2018年12月31日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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