浅田次郎さん、小説を書くのに大事なことは?

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

広範な知識 多くの読書から

ビブリオバトル後の講演で、「流人道中記」のテーマを明かした浅田さん
ビブリオバトル後の講演で、「流人道中記」のテーマを明かした浅田さん

 直木賞なおきしょう作家で、数多くのベストセラー小説しょうせつ執筆しっぴつしてきた浅田次郎あさだじろうさん(67)が読売新聞朝刊で連載れんさいしていた『流人道中記るにんどうちゅうき』が10月、完結かんけつしました。これを記念きねんして開催かいさいされた「ビブリオバトル」を取材しゅざいし、参加した浅田さんに、子供時代の話や執筆のさいに心がけていることなどについて聞きました。

多くのベストセラー

 浅田さんは、第117回直木賞受賞作で、映画化もされた「鉄道員ぽっぽや」、愛と義に生きた新選組隊士しんせんぐみたいしを描いた「壬生義士伝みぶぎしでん」など、多くのベストセラー作品で知られています。10月に完結した新聞小説「流人道中記」は、昨年7月から455回にわたって掲載けいさいされました。

 現代げんだいを代表する作家である浅田さんに話をうかがうのは、とても貴重きちょう機会きかい。まず聞きたかったのは、ジュニア記者と同世代のころ、どんな本を読んでいたか、ということでした。

 小さい頃から本を読むのが好きだった浅田さんは、中学時代にはスタンダールやバルザックなど、ヨーロッパの古典こてんを読んでいたそうです。「自分の年齢用ねんれいように書かれている本ではなく、少し背伸せのびをすると面白い本に出合える」と教えてもらいました。小学生は中学生の本、中学生では高校生の本というように、むずかしい本にチャレンジすると、るものが大きいといいます。

テーマの決定が大事

 数多くの作品を、どのようにして書いているのでしょう。

 「この小説を書くために、これを調べようというのでは書けない。小説家になるまでに、どれだけ広い範囲はんい知識ちしきを持っているかが重要じゅうよう」と言います。そのためにも、やはり、い本をたくさん読むことが大事なのだ、と力説りきせつしていました。

 大事なことは「この作品で何を言いたいか」というテーマを決めることだそうです。浅田さんは、「世界に通用する文学には、思想がなければいけない」という信念しんねんを持っています。まず、小説の柱となるテーマを決め、その上でストーリーやキャラクターを考えていくのが、浅田さん流の執筆方法だと学びました。

 一番お気に入りの作品と登場人物を聞いたところ、「自分の作品に出てくるキャラクターは、自分の子供みたいなものだから、一人のこらずかわいい」。自宅じたくには、自身の作品だけを並べた本棚も置いていて、読み返すことも多いそうです。

 自作に対して深い愛情あいじょういだく浅田さんだからこそ、多くの人が感動する小説を生み出せるのだと思いました。

チャンプ本は「月島慕情」…浅田作品ビブリオバトル

 東京・新宿で11月4日に行われた「まるごと浅田作品 ビブリオバトル」は、浅田さんの作品にしぼった書評しょひょう合戦です。登壇者とうだんしゃ(バトラー)が、お気に入りの浅田作品を発表。来場者はどの本を読みたいと思ったか挙手きょしゅし、一番支持を集めた本が、「チャンプ本」となります。

 バトルで取り上げられた本は、『一路いちろ』『あやし うらめし あな かなし』『蒼穹の昴そうきゅうすばる』『プリズンホテル』など、浅田さんの作品の多彩たさいさを実感できるラインアップでした。

 その中で「チャンプ本」にえらばれたのは、短編たんぺん小説集『月島慕情つきしまぼじょう』です。舞台ぶたいは大正時代の東京。遊女ゆうじょとしてはたらいていた主人公のミノさんに、恋心を抱く男性から「つまにしたい」という身請みうけ話が持ち上がります。転機てんきむかえた女性の葛藤かっとうえがかれています。

 紀伊国屋きのくにや書店東京営業本部の原元太さんは、自分らしい選択せんたくをしたミノさんの生き方について「ほれぼれするほどかっこいい」と紹介しました。女性の複雑ふくざつ境遇きょうぐうや心理が描かれているにもかかわらず、とても美しい作品、と力説する原さんの解説かいせつには、読みたいと思わせる説得力せっとくりょくがありました。

 ビブリオバトルの後の講演会こうえんかいで、やはり、テーマの重要性について話した浅田さん。『流人道中記』では「真理をめる求道者ぐどうしゃと、ともなって旅をする弟子というイメージがあり、求道者が何の苦悩くのうかかえているかが小説のかくだった」と明かし、主人公の青山玄蕃げんばの名前をげて「(連載が終わり)玄蕃ロスです」と話し、会場をかせました。

 (高2・山下礼雄やましたれお、中2・池上花音いけがみかのん、中1・竹中夏希たけなかなつき、小5・池上颯いけがみそう記者、撮影さつえい高橋美帆たかはしみほ

無断転載禁止
929125 0 キッズニュース 2019/12/09 05:20:00 2019/12/09 05:20:00 2019/12/09 05:20:00 まるごと浅田作品ビブリオバトルで、講演する作家の浅田次郎さん(4日、東京都新宿区で)=高橋美帆撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191202-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み_東京2020オリンピックパラリンピックキャンペーン

アクセスランキング

 


東京オリンピックパラリンピックオフィシャル新聞パートナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ